第六話 __月夜の晩に__ ページ8
宴も終わり、ボクは早めに自室となった部屋を訪れる。
なんだか、フワフワしていて、どうも落ち着かない。
「うむ…これは、酔ったと言う状態か?」
何を隠そう、ボクはお酒を初めて飲んだ。
酔うと言う感覚なんて、知るよしもなかったのだ。
「とりあえず、寝よう」
ドサッと大きめのベッドに倒れ込む。
「ふかふかの…布団」
久しぶりだ
心地良い。
そんなこんなしていると、ボクはあっという間に夢の世界へと沈んでいった。
ーーーー
『お前の王は、気に入ったか?』
声に、そう問われる。
「そうだね。今までで一番いいかもはしれない」
『そうか。なら、いい。じゃあ、またな』
霞む視界。
どうやら、目覚めの時の様だ。
「待ってよ。君は一体誰なんだい?」
目覚める直前にそう聞いたが、返事が返ってくることは無かった。
ーーーーー
「ん……。まだ、暗いな」
重い頭を起こし、部屋を出る。
夜風に吹かれ、服の裾が揺れる
「あれ?お姉さん、まだ起きていたのかい?」
ふと、背後から声をかけられた。
「あぁ、アラジンか。まぁ、今起きたところだよ」
「そうなんだね。ねぇ。ちょっとお話いいかな?」
ボクの隣に立ち、アラジンは口を開く。
「お姉さんはどこから来たの?」
ありきたりな質問だった。
でも、ボクにとってはとても厄介な質問だ。
何せ、説明のしようもないから。
ボクの故郷の村は何百年、何千年も前に滅びた。
それから、ある国に住み着き濡れ衣を着せられ、追い出された。
ボクは少しだけ、口を開いて
「どうして気になるの?」
か細い声でそう言った。
すると、アラジンは不思議そうな顔をして
「だって、お姉さんのお顔、僕はウーゴ君に見せてもらった巻物で見たことあるよ?」
そう、静かに言った
それは、満月の光り輝く夜だった。
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紅桜夢 - とっても面白かったです。 (2021年11月12日 8時) (レス) id: 20dd92ba69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2020年10月2日 19時