第二話 __初めまして__ ページ4
「やぁ、久しぶりだね。元気だったかい?」
ニコリと笑う彼の思わぬ助け船に乗りかかる。
「久しぶりだね。ボクはめちゃめちゃ元気だったよ!」
こちらもニコリと笑みを浮かべながら話す。
やがて、群衆のざわめきは、新たな話題へと切り替わっていった。
「初めましてだね。お兄さん。ボクはA。しがない旅人だよ。」
「俺は、シンドバット。この国の王を勤めている。」
ニコニコと笑う彼の瞳は、色ひとつ濁っていない、綺麗な目だ。
シンドバット、つまり彼がボクの王様になりうる器…ということのようだ。
証拠に先程からボクのルフが心なしか騒がしい気がする。
「そっか、王様か。ボクはどうやらすごい人と友人関係を繋ごうとしていたようだね」
まぁ、そんな感じのたわいのないおしゃべりをしていると。
タッタッと効果音が付きそうな勢いで青髪の小さな男の子が此方に駆けてきた。
「お姉さん、もしかして、マギ?」
どうやら正体が分かったらしいな。
彼の回りのルフはザワザワと彼の回りを飛んでいる。
「よく分かったね。まぁ、マギと言ってもソロモン王のうつしみの君よりルフの加護は遥かに劣るよ」
そういうと、シンドバットが目を見開く。
「君も、マギ、なのかい?」
そういう彼が密かに目を細めたのを見逃しはしなかった。
「あぁ、まぁ今ではしがない旅人だからね。マギとか関係なしに国とか村とかを見て回っているよ」
どうやら、ボクの王様は実に厄介な人らしい。
これは…楽しくなってきたね。
「それはそれは、ではぜひ、マハラガーンを楽しんで行って下さい。後で宮中にも案内しますよ」
そういうと、シンドバットはあのマギのいる所へゆるりと歩いていった。
彼の歩いた後には、白ルフが数えきらんばかりに溢れている。
いくら目を細めようと、その輝きは劣ることなく。
いくら手を伸ばそうと、その手は届くことがない。
ふと、シンドバットと目が合う。
彼はまた、ニコリと笑い
「Aさんも、一緒に。宴の衣装もお貸ししますので」
そういい、ボクにスッと手をさしのべた。
シンドバットの後ろに控えた人達には、少し怪訝そうな表情をされたがボクは気に止めることなく
その手をとり
「うん。じゃあ、みんなにも自己紹介しないとね。」
そういっていつも通りの笑みを浮かべた。
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紅桜夢 - とっても面白かったです。 (2021年11月12日 8時) (レス) id: 20dd92ba69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2020年10月2日 19時