28話 ページ30
乱歩｢あれ、君誰？安井さんは？｣
｢俺は安井の後任の箕浦だ｣
なんだ。
安井さんに会えると僕も少し楽しみにしていたんだけど、僕等の目の前に居るのは安井さんではなく、新しい刑事さん。
乱歩｢ま、いいか｣
仕事を始めようとする乱歩さん。
＿＿＿あの箕浦さんって人が探偵等いらん、此の事件は警察が解決する、なんて云っていたのを乱歩さんらしい上から目線の言動で静かになった後で＿＿＿
乱歩｢ご婦人か｣
どれだけ乱歩さんのお仕事について行っても此の瞬間は慣れない。
刹那、脳裏に流れる或る映像。
＿＿＿僅かな息遣いも聞こえぬ静寂。1人立ち尽くす男の目の前には男が作ったであろう死体の山。
其れは誰かに与えられた死ではなく、自らが生んだ死。
立ち尽くす男の異能力の力で命を絶った彼等は死ぬ間際、何かを考えることも出来はしなかっただろう＿＿＿＿
天宮｢うっ…｣
まただ。
此の映像はもう見たくないっ…
無意識で僕は隣に居た敦くんのシャツの袖を握っていた。
中島｢歩斗くん？大丈夫？｣
天宮｢う…あ、ごめん…｣
中島｢乱歩さん呼ぶ？｣
其の問いかけは僕にとって嬉しいことであったが仕事中の乱歩さんの邪魔はできない。
天宮｢だい、じょうぶ…｣
敦くんから離れ座れそうな場所に腰を下ろす。
ふらふらな足取りだったからか、敦くんが僕の目の前まで来て心配そうに僕を見ていた。
最近はあの映像も見ていなかったんだけどな…
ギルドが近づいて来てるからかな？
中島｢無理しないで？｣
敦くんが隣に座り背中を摩って呉れる。
天宮｢ありがと…｣
中島｢ううん、落ち着いてきた？｣
天宮｢だいぶ…｣
乱歩｢歩斗！？大丈夫？｣
ああ…仕事中なのに迷惑をかけてしまった。
天宮｢ごめんなさい…大丈夫｣
乱歩｢よかった…｣
優しく微笑みながら僕の頭を撫でて呉れた。
敦くんと乱歩さんに優しく撫でてもらったお陰で先刻よりは良くなった。
僕の容態を見て大丈夫だと判断した乱歩さんは事件の解決へと戻った。
天宮｢駄目だなぁ…また迷惑かけちゃった…｣
中島｢僕なら大丈夫だよ？｣
天宮｢うん…ありがとう｣
迷惑をかけたくないのに乱歩さんの傍に居ないと安心しないなんて、我が儘だよなぁ…
天宮｢敦くん、乱歩さんの処行ってきなよ｣
中島｢え、でも…｣
天宮｢これも新人教育だからね。
僕なら大丈夫！｣
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作者名：星夢 | 作成日時：2017年1月7日 0時
