純愛メランコリー【Ryo】 (ページ15)

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はあ、と溜息を吐いて頭から水を被る。

「つめた、……」

煩悩を消し去るように、誤魔化して。

蛇口をキュッと止めて、浴室を出る。

Aちゃんは兄ちゃんの彼女、Aちゃんは兄ちゃんの彼女……、

タオルで髪の毛をガシガシと拭きながらリビングに戻る。

「上がったよ、」

『涼くん髪の毛濡れっぱなし、風邪引くよ？』

「いつもだから大丈夫」

『だめ、乾かしてあげる』

そこに座ってくださーい、とソファの下のところに座らせられ、Aちゃんがソファに座る。

少し傷んだ髪の毛にAちゃんの指を通され、生温い風を当てられる。

「Aちゃんは、兄ちゃんのどこが好きなの？」

『龍也くんの好きなとこ？』

「そう、」

『えっとねえ、まずは底なしに優しいとこでしょ？あとはふわふわしてるけど意外と男らしくて、』

指折り数えて、尽きることなく挙げられる、兄ちゃんの好きなところ。

……こんなの、初めからわかってたけどかないっこない。

「大好きなんだね、兄ちゃんのこと」

『凉くんもでしょ？』

「うん、ほんとに兄ちゃんには感謝しかしてないし、大好きだよ」

だからこそ絶対に裏切れない、裏切っちゃいけない。

『だけど私、凉くんのことも好きだよ？下にいないから、弟が出来たみたいで嬉しい』

「俺も、優しくて可愛いお姉ちゃんが出来て嬉しいよ？」

嘘で塗り固めれば、きっとそうだって、思えるようになるはず。

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