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『はい、おしまい』
「ありがとー、」
『涼くん髪結構傷んでるよね、私のヘアオイル使う?』
「あー、うん、」
まるで本当の “ 弟 ” のように世話を焼いてくれるAちゃん。
嬉しいけど、嬉しくない。
「Aちゃんと同じ匂いになった」
『シャンプーも柔軟剤も全部一緒だもんね』
おそろいが増えていく度に錯覚しそうで、怖くなる。
同じ屋根の下、好きな女の人と一緒に住んでいるのに俺のものじゃない、俺のものには決してならない。
『あ、そうだ、涼くん勉強しよ?』
「ああ、お願いします……!」
『えーっ、とどこからわかんない?』
「えへ、全部!」
『それ得意げに言うことじゃないから!』
もし、Aちゃんと同い年だったならば、
こうして放課後、一緒に勉強したり、
同じ制服を着たままデートをしたり、
涼くん、A、って呼び合えたりしたのかな?
『……懐かしいなあ、』
「ん?」
『高校時代に戻ったみたい、』
「ねーAー、俺全然わかんないー!」
『何それ、龍也くんのマネ?』
「そ、似てる?」
『うん、ちょっと似てる』
兄ちゃんのマネをして、ドキドキしながら呼び捨てにする。
でもどう頑張ったって、俺は兄ちゃんにはなれないけれど、
「ね、A?寂しいときは、俺に頼っていいんだよ?」
『りょ、くん……、』
「ううん、今は兄ちゃんのマネしてるから、龍也、」
代わりにだったらなれないかな?
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作者名:アオ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=blueao5&scr=novel/jeyuto01...
作成日時:2019年6月17日 22時