【文スト】その幼女、実は______

存在 ページ26

中也said

任務後、太宰は用事があるらしく俺がAの世話をすることになったが

「慣れたか？」

「はい」

「そうか……」

お互い、必要以上話さない

俺はちらりとAを見る

ただまっすぐ前だけ向いている

「……手前は人口異能だから親はいないのか」

「ええ、居りません。ただ……一度だけ私とよく似た男性を見かけました」

そう言ってAは少し視線を逸らす

「……あの人は私のモデルだと言っていました」

「……なあ、手前の言う“あの人”ってなんだ？」

そう聞くとAは首を振る

「それは言えません。あの人は私に“何も言ってはいけない”と命じました。そして“組織から逃げろ”とも命じられました」

そう言ってAはピアスをいじる

「コレはその時に貰った物です。“これを組織の者に取られてはいけない”と」

そう言ってAは俺を見る

「コレは言っても良いと言われました」

そう言ってAはまた黙る

“あの人”と“ピアスを取られるな”そして“逃げろ”……か

俺は少しだけ考えてからため息をつく

こういうのは青鯖の方が皮肉にも得意だからな

取り敢えず……組織から逃げてるって事は判ったな

そう思っていると、構成員が

「中原様、首領がお呼びです」

「嗚呼、判った。A、少しだけ待ってろ」

そういえばAは頷く

俺はそのまま首領室に向かった

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