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目の前のドアを2回叩き名前を名乗る。
すると、中から｢はいよ〜｣と返事が聞こえた。
少し緊張しながらもがちゃりとドアを開ける。
そこには椅子に座るおそ松さんとそれを囲むようにして三人の兄弟が立っていた。
｢あ、あの｣
勇気を出しておそ松さんの目を見る。
｢先程は断ってしまったのですが、私、あなた達の家族になりたいです。どうか、よろしくお願いします。｣
ゆっくりと一言一言丁寧に告げて頭を下げる。
どんな言葉が返ってくるのか、不安でぎゅっと目を瞑って返事を待つ。
｢もちろんだよ〜！！本当に断られたらどうしようってお兄ちゃん心臓キュってなってたよ〜｣
おそ松さんの声に顔を上げる。
｢じゃ、じゃあ。｣
｢おう、これからよろしくな、A！｣
はいっ、と自然に笑顔が零れる。嬉しい。自分がすごく喜んでることが分かる。
｢じゃあ改めて。俺は松野家長男兼ボスの松野おそ松！｣
おそ松さんがそういうと示し合わせたように六つ子の自己紹介が始まった。
｢フッ、俺は松野家幹部、次男のカラ松だ。よろしな、シスター？｣
｢こいつは基本放っておいて大丈夫だからね。僕は松野家参謀、三男のチョロ松。作戦を立てたりするのは僕の仕事なんだ。よろしくね。｣
チョロ松の自己紹介が終わると｢こいつ俺の右腕ー｣とおそ松さんが口を挟む。
｢松野家幹部…四男の一松。…スナイパーやってる｣
｢えっとねー！僕十四松！松野家幹部？五男の！十四松です！五月二十四日生まれの二十三歳！今度野球しようね！｣
まぁ、わかってたけど、皆の方が歳上なんだ。
｢ちょっと十四松兄さん！女の子を野球に誘わないの！僕とショッピングの方が楽しいもんね！僕は松野家幹部末弟のトド松！よろしくね？｣
色とりどりの自己紹介が終わる。仕事柄記憶力はいい方だ。
｢皆さん、ありがとうございます。改めまして私は瀬名Aです。今、二十歳になると思います。至らない点ばかりだと思いますがよろしくお願いします。｣
そう言うと、六つ子が口々によろしく、と言ってくれる。
そんな中、
｢敬語やめない？｣
ぼそっと一松さんが呟く。
｢確かに最初敬語じゃなかったよな〜｣
それにおそ松さんも賛同する。
家族になってくれた恩人ということで敬語になってしまっていたがもう家族なんだ、敬語じゃなくても…。
｢じゃあ、遠慮なく｣
そう言って笑うと皆も嬉しそうな顔で笑った。
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作者名：ると | 作成日時：2020年12月21日 5時
