第三十七話【逃走経路】 ページ17
私達は階段を降り、組織の首領を探すと、電気が点いている一室があった。私は扉の隙間から部屋の中を覗いた。しかし、部屋には誰もいなかった。それを見て、私達は部屋の中へ入った。
中には、数台のパソコンと部屋の隅には段ボールの箱が積み上がっていた。段ボールを開けると中から何かが落ちた。それを拾うと、それは白い粉が入った小さな袋だった。この全ての段ボールの中に袋が詰め込まれているようにも思えた。
「此処で間違いありませんね。しかし一体、何処に行ったんでしょうか?」
構成員の一人が私に声を掛けた。上はポートマフィアに占拠され、逃げ場はない筈だ。もしこの場から逃げたというのなら......
私はもう一度部屋を見渡した。電気が点いているということは銃撃の直前までこの部屋にいたという事になる。すると、床のカーペットが不自然に捲れているのに気がついた。私はカーペットを捲ると床に扉があるのを見つけた。その扉を開けると更に下へと続く梯子があった。
「太宰さん。敵組織の首領は下水道を使って逃げました」
私はインカム越しで太宰に呼び掛けた。
「あぁ、前もって逃走経路がある事は予測していた。Aは今から言う場所に向かって待ち構えていてくれ」
「了解です。すぐ向かいます」
私は通信を切った。
「Aさんはどちらに?」
構成員の一人が私に訊いた。
「私は組織の首領を追います。後の処理はお願いします」
私はチラリと部屋の段ボールを見た。
「わかりました」
構成員との短いやり取りの後、私は太宰から聞いた場所を目指すために、その場を後にした。
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作者名:トキハル | 作成日時:2019年11月17日 14時