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「せいか……。
お前は自分が思ってるほど容姿に振れてないからまだまだ中身に振れるぞ」
「でもそんな完璧になったら、反感買っちゃうよぉ」
「そこまで言うなら、会計にふさわしい働きをしたやつを会計にしてやろうじゃねーか。
だが、時間がない。
来週頭には役職を正式に学校に提出せねばならんのだ。
よって、今週末の働きで決定する!
週末は全部員で少し遠出して神奈川へ繰り出すぞ!
名付けて『初夏の神奈川探索!』」
「いきなり予定が立ったー!
そして名付けてるー!」
龍華があきれたように言った。
「てゆか、親睦深める為に休日に遊びたいって言えばいいのに……」
夜陣は龍華を指差して鋭く叫んだ。
「甘いぞ、龍華!
副部長たる者なら、いつでも虎視眈々と部長の座を狙っていて、このような機会は略奪のために孤軍奮闘するキャラを演じてもらわねば困るぞ!」
「……休日は兄貴と連弾の予定があったんだがな」
「集合は朝9時に駅とする!
遅刻者は厳罰に処す!」
「はぇーよ! 行く気あり過ぎだろ」
龍華は再びぼやいたが、樹たちは乗り気のようだ。
「わーい、神奈川探索ー!」
週末。
「ここが、ランドマルクタワー!」
せいかとレーレが目を輝かせながら、タワーを見上げる傍ら、男性陣はふたりに引いていた。せいかとレーレがふたりとももっさりしたジャージという服装で来たからだ。
「なんだ?
その格好は」
失笑する夜陣。
せいかが言い訳する。
「寝坊しちゃったの!
おしゃれより遅刻しないことを優先したのよ。
厳罰怖いし。協調性の塊せいかです!」
「女子力欠如のせいかだな」
レーレは言い訳しなかった。
「私はもともとジャージ派だっ」
「元から終わってるな。
ふたりとも総じて歌姫になる自覚が足りんな!
初夏の服装ってやつをコーデしてやる。
龍華や樹にはむりだろーがな……」
そう言って龍華をちらちら見る夜陣。
とたんにずっと黙って女性陣をじろじろ見ていた龍華が言う。
「アア?
まあそーダナ。
向いてねェ」
夜陣はむ、つまらん、みたいな表情をした。
「衣装といえども、歌姫には重要だ。
作曲できるだけでなく、オールプロデュースできてこそ、自分の世界観をフルに表現できたといえるのではないか?」
「オレは曲のみで伝えきれる自信がアル!」
「それは傲慢、思考停止だ!」
「何とでも言え!」
「ちょっとぉ、喧嘩っぽくなっちゃうのは、よくないよぉ」
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作者名:ルスブ | 作者ホームページ:http://twitter.com/rusbsss
作成日時:2022年9月9日 10時