【歌い手】 恋い焦がれる 【短編集】

コクハク＊そらる ページ6

心臓の音が俺以外の人にも聞こえるんじゃないかってくらいバクバクいってて。




止まれ止まれ。


自分に言い聞かせるけど、心臓のバクバクは止まらない。







一人教室で彼女を待つ。



一秒が長く感じる。








『ごめん…遅くなっちゃった』


少し息を切らせて彼女はやってきた。


『で？話って？』

彼女と目が合った。





そらる「うーんとね…」



いざ気持ちを伝えようとすると、なかなか言葉にできない。


『ん？』








そらる「………す、き…」


初めてのコクハク。



彼女は下を向いた。





頬が少し赤くなっていた。

ねえ、



期待してもいいですか？


『あ、の…』



彼女は申し訳なさそうに、



『私、彼氏がいるんだ』



少し微笑んでそういった。








そらる「そっか。じゃあ、今の忘れて。ばいばい」




無理やり笑顔を作って教室を出た。

彼女が待って。って言った気がしたけど、聞こえないふりをした。


これ以上彼女の顔を見れないから。





ありがとう、

初めて好きになった人。

ホントの自分＊luz→←歯車＊伊東歌詞太郎

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す