笑顔と、花言葉～図書館戦争～ (ページ7)

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7.おしゃべりは程々にページ7

｢ごちそうさま。｣

食べ終わった郁があたふたとトレーを持って立ち上がる。

その拍子に、郁のポケットから２つ折りの紙切れが落ちた。

ハガキかな？

｢おい、落としたぞ。｣

堂上教官が声をかけても郁は振り向かない。
顔だけは、しまった、という苦々しい表情に変わったが。

｢いいです、捨てといてください。｣

郁は早く堂上教官から逃げたいみたいだった。

｢ほら、Aも柴崎も行こう。｣

すたすたと歩きだした郁を追いながら、ちらっと教官たちのほうを振り返った。

堂上教官はさっきの郁のハガキを見ている。

ああ、あれか。郁が親に連れ戻されちゃうって騒いでたやつだ。

視線を少し横に向けると小牧教官と目が合った。

特に何も言うことが見当たらないのでぺこっと頭を下げる。

それに対して、教官はにっこり笑いかけてくれた。優しそうな人懐こい笑み。

はっ、郁がもう行っちゃってる！

｢笠原はね、背で男選んじゃだめなのよ。
170cmでしょ？贅沢言わないの。｣

郁を諭す柴崎の声を見つけて追いかけた。

・

・

｢彼女達どうなの、堂上の班の子達でしょ。｣

女子3人組が去ってから、小牧が口を開いた。

｢笠原は化け物だ。男子を混ぜたハイポートで12位だ。自衛隊に突っ込んでも訓練ならついていけるんじゃないか。｣

中学から大学まで陸上をやっていたそうだ、そう堂上は言った。

｢へえ、大した素質じゃないか。
で、芹沢さんは？｣

｢芹沢は……。｣

｢よくないの？｣

少し口元を歪めた堂上に小牧が問う。

｢持久力がないんだ。ハイポートは最後が常だし、午前の訓練で体力を消耗しすぎだ。小牧も見たろう。｣

｢ああ、確かに疲れきってたね。小柄だっていうのもあるのかも。
芹沢さんはこのあと様子見としても、笠原さんは決まりじゃない？｣

｢まだ決まってない。｣

小牧の言葉を堂上は頑なに否定した。

｢身体能力だけで決まるものでもないからな。｣