コクられる ページ9
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「ま、コクられてもぜーんぶ兄貴に却下されるんだけどね」
『兄貴って確か青道の四番だよね?俺、あの人にヒット打たれたことあるんだけど』
「兄貴は凄いからねぇ。ま、私だってインコの甘い球ホームランに出来るよ」
『甘い球だけね!!』
『って言うか、あの人シスコンなの?全然そーは見えないんだけど』と言うインコ。急に話を戻すなよ、テンパるだろ。
「でもなぁ、付き合うとしたら兄貴ぐらいの広大さ?がないと」
『広大さって……バカでしょ、あ、バカだったね』
「お前もな」
付き合う条件としてはまず、野球をやってる人かなぁ。野球を好きな人でもいいよ!私も野球好きだし。野球をやってる人なら高打者の人とかいいかも知れない。きっと、兄貴と話が合う!
『結局、兄貴目線じゃん』
「因みにインコは論外だから」
『俺だって市春だけとは付き合いたくないね!!』
『大きなお世話だよ!!』と言うインコ。すると遠くの方で『鳴五月蝿いぞ!!』と野太い声が聞こえた。
まぁ今は夜だしあんな大きな声だしてたら当たり前だろう。
『もう、市春のせいで怒られたじゃん!』
「私のせいにしないで貰えるかな、腐れエース」
『腐ってないもーん』
「性格、かなり腐ってると思うよ。きっと後輩には好かれないタイプだね、絶対。少しでもエラーしたらネチネチ言ってそうだもん」
『冷静に分析しないでよ!気持ち悪い…!!』
インコがまた叫ぶものだから『鳴…!何回言えば分かる!』と怒られていた。もっと怒られちまえ。
『痛い、痛い、痛い!雅さん痛いってば!』
「?」
『ストレッチもやらずに電話するな、全く…』
どうやら、練習が終わった直後に私から電話が来たらしいからストレッチもなにもせず電話をしていたらしい。きっとつい先程無理やりストレッチでもさせられたのだろう。
「大変そうだね?切るよ?」
『もう、かけてこなくていいからね!』
インコのこの言葉を最後に私達の通話は終わった。
それにしても久しぶりにインコと喋ったような気がする。
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