春市 × 市春【小湊春市】 (ページ24)

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バッティングセンターページ24

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今日が平日だからか、はたまた夕方だから、バッティングセンターはほぼ貸し切り状態であった。

店で貸してくれるバットを真剣に選びどれがいいか、そんな事を考えながらびびっと来たバットを手に取る。

どうやら春市君は先にどのバットにするか決めていたらしく既に手に持っていた。

春市君は私の持っているバットを見て疑問に思ったのか聞いてきた。

「結城さん木製バット使うの？」

「春市君こそ」

私は小さい頃から木製バットを振っていた為、木のしなりが体に染み付いて、金属バットに中々変えられないでいる。

木製バットは力負けしたらしょっちゅう折れるしお母さんが「家計にかなり響く」なんて私に小言を言ってきたことだってある。勿論聞かなかったことにしたけれど。

私と春市君は顔を見合わせると「にしし」と笑いバッターボックスに立つ。速度はまあまあ早いぐらい。

隣でカキーンと打つ音が聞こえる。きっと春市君だろう。私も負けてられない、対抗心を燃やした私はいつも通りのフルスイングをする。

カキーンとさっきの春市君よりもいい音が響く。ホームランだった。

「わぁ、ホームラン！！」

「何だろう、鬱憤溜まってたのかな…勉強に」

かなりいい手応えでその後もバンバン打ち続けた。春市君も何回もホームランを出していたから、私も負けじとホームランを出す。

それの繰り返しで気がつけば夜になってるし、辺りには沢山の人だかりができていた。

「凄かったねぇ、嬢ちゃんに坊や。ホームランいっぱい出して。ほら、割引券やるよ、また来な」

カウンターに行くとまだまだ元気そうなおじいちゃんが割引券をくれた。それに「ここにこんな沢山の人が来るなんて久しぶりだから特別に無料だよ」と料金を無料にしてくれた。優しいおじいちゃんである。

そのままバッティングセンターでお別れだと思っていたのだけれど春市君が「もう夜だし送るよ」と言ってくれて送ってもらうことになった。

「春市君ってさ、モテるでしょ？」

「？急に何？」

コテンと首を傾げる姿は私よりも女子力高そうな感じで凄いなぁと思いながらも春市君がモテると思った理由を述べる。