登校 ページ2
＊
真新しい制服に身を包みながら私は階段をかけ降りる。
「兄貴！一緒に学校行こう！今日は朝練、ないんでしょ？」
「ああ」
靴を履きながら「行ってきまーす！」と玄関で叫ぶと奥から「僕も行くー！」と声が聞こえた。きっと将司だろう。中学校は高校と真反対なのに。
私と同じ事を思ったのだろう。兄貴は「真反対だろ」と言って歩き出してしまう。
「待ってよ、兄貴！」
そう言うと兄貴は歩く足を止めてくれる。兄貴はやっぱり優しい。
ん？ブラコン？何それ。知ーらない。私は決してブラコンではない。決して。
「合格できて良かったな」
「うん！これも兄貴と介さん達が勉強見てくれたお陰だよ！今度会ったらお礼言わないと！」
「ああ。そうしてやってくれ。あいつらもお前を見たら喜ぶ」
「うん！」
家から学校は近い。だから兄貴は寮には通ってないんだけど…ま、そんな事はどうでもいいか。昇降口につくと私は兄貴と別れる。
昨日、入学式があった。私は緊張でガチガチで全然覚えてない。話によれば、入学式で名前ガチガチになってる私を見つけた兄貴と先輩は笑ってたらしい。
それを聞いた時ちょっとイラッとした。イラッと。…ちょっと、ちょっとだけね？
私は何かと人見知りが激しい性格だからはっきり言って友達ができるかどうか悩みどころである。
ま、友達ができなければ兄貴のクラスに行けばいい。そうすれば私は寂しくないし。兄貴にも会える。一石二鳥だよね！
「……ん。結城さん」
「あ、ごめんね」
隣から話しかけられてることに気がつかなかった私。話し掛けてきた子は桃のようにピンク色の髪色をした小柄な少年だった。
前髪で隠れていて目が見えない。はっきり言って視力とか大丈夫なのかな？隠れコンタクト的な？
「えっと…何？」
「ごめん、ごめん。知り合いに似てたものだから。つい」
自分で言ってて気がついたんだけど、この子介さんに似てる。…ま、そんな事はどうでも良くて。
「先生が結城さんに渡しとけ、って」
「ありがとう」
男の子は私にプリントを渡してくれた。微笑んでお礼を言うと男の子は少し顔を赤くして「大丈夫だよ」と言って小走りで何処かに行ってしまった。
知り合いに似ていたせいか人見知りしなかったなぁ。…介さん恐いからな、うん。
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