将棋 ページ14
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マネージャーも慣れてきた今日この頃。とある日、野球部の練習が終わると監督が集合をかけた。それも、選手だけではなくマネージャーもである。…練習試合でも組んだのかな?明日土曜日だし。そんな事を思っていると、仁王立ちの監督は言った。
「お前らはどうせ忘れてるだろうと思ってな。明日は、体育祭だ!野球部が全種目で一位になれないなんて、ないよな」
圧倒的な威圧。マネージャーまで集められている、と言うことは即ち私たちも何かしらの種目で一位を取れと言うことだ。
「イエス、ボス!!」
「うるせ、沢村!耳元で叫ぶんじゃねぇ!!」
私は運動得意だし、短距離も長距離もいける。野球部の皆だって、運動部だし楽勝だろう。問題は運動部が野球部だけではない、と言うこと。
倉持先輩とか兄貴は足早いし絶対一位を取れると思う。御幸先輩とかは頭脳で戦ってそうだもんなぁ。
「降谷!お前だけには絶対負けん!!!」
「…負けない……!!!」
前の方ではメラメラと闘志を燃やす栄純君と降谷君。慌てて春市君が間に入っている。
「何かしらの種目で一位を取れなかったやつは…結城(兄)と将棋でもやって貰う」
監督のその言葉を聞いて直ぐ様反応したのは栄純君と御幸先輩だった。あの二人は既に犠牲になってるからなぁ。
「ふん、楽しみだな」
エア将棋をしながら兄貴は言う。
「「(この勝負、絶対ェ負けられねぇ……!!)」
「監督、将棋できない人はどうするの?」
介さんが監督に質問する。監督は当然と言うように「その場合は結城(兄)に教えてもらえ」と言った。
その瞬間皆、「げぇ」みたいな顔をし始める。
「(将棋できねぇ、で通せてたモンが通せなくなるじゃねぇか!ま、俺は一位取るけどなあ!!)」
「(んー、これは本気を出さないと本当に哲に将棋させられそうだなぁ。それだけは勘弁)」
純や介さんの考えていることが手を取るように分かる…。兄貴は皆と将棋が出来る、ってウズウズしてるし。
「皆、二番狙っていこう」
そう言う兄貴に皆のツッコミが入る。
「「お前ただ将棋やりたいだけだろ!!」」
今年の体育祭は波乱万丈みたいです。
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