第八十七話 ページ4
それから数ヵ月私の足は、あの場所へと向かっていた
すでに遠い町に引っ越していた私だったが、どうしてもジェリーのことが頭から離れなかった
ジェリーならきっと大丈夫、きっと誰かが拾ってくれているはず
今思えば私は早く安心したかったのだ
私に罪はないことをジェリーの生きている姿を見ることで早くそれを確認したかったのだ
ジェリーは誰かのものにも、亡骸にもなっていなかった、ジェリーはいつものようにそこで待っていた
一歩も動かずに、ただじっと私の帰りを待っていた
老人「ひどいもんじゃろ、少し前にそこに捨てられていて
親切な人が連れていこうとしたり、餌をやろうとしたり色々しようとしたが、こいつどういうことが頑としてここから一歩も動かなくてな
そのうち、誰も相手にしなくなってしまったよ
まさか主人が戻って来ると思ってまっとったのかのぉ
いずれにしても、哀れな話じゃ」
そっと手を伸ばし頭を撫でると微かに開いた虚ろな目で私を見る
ジェリーは僅かに尻尾を動かすそぶりを見せると、それきり動かなくなった
老人「嬢ちゃんそうか、あんたがこいつのご主人だったか」
「ジェリーは私が帰ってくるのを待ってたのね、あのときからずっと、ずっと
ジェリー、私は貴方に何て謝ればいいの、何度謝ればいいの
貴方は私にいろんなものをくれた、独りぼっちの寂しさを忘れさせてくれた
世界を広げてくれた
私は貴方に、大切な友達になんでことを」
老人「詫びることなどないさ、こやつはずーと、あんたを待っていたそしてあんたはここにきた、それ以上に何がいる
こやつも最後に主に合えて幸せだったじゃろう」
「そんなことない!だってジェリーを死なせたのはほかでもないこの私だもの!」
老人「ジェリーは死んでなどおらん、ちゃんと生きているよ」
「どこに!どこにいるって言うのよ」
老人「それはもちろん、お前の後ろになぁぁ!」
『ぎゃああああああ!!』
そう叫びながらAはラジオを蹴飛ばした
『なんでいい話が最終的に怪談になってんの
どこが泣ける話だよ!泣き叫ぶ話じゃん!
今頃局にばんばん苦情の電話かかってるよ!
べ、別にビビってはないけどね!
神威!ラジオはもうなし!聞いてらんないよこんなはな...』
Aが神威の方を向くと神威はすでに眠っていた
『あ、あれ、寝たのか、ようやく寝たのか全くはた迷惑なやつだな』
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坂威瑠衣(プロフ) - 坂田さん» コメント有難うございます!とても支えになります! (2019年1月19日 22時) (レス) id: 0eff2838be (このIDを非表示/違反報告)
坂威瑠衣(プロフ) - 夏目さん» コメント有難うございます!神威いいですよね!すごくわかります! (2019年1月19日 22時) (レス) id: 0eff2838be (このIDを非表示/違反報告)
坂田 - 本当に面白いです 更新がんばってください 応援してます (2019年1月6日 0時) (レス) id: d54895511d (このIDを非表示/違反報告)
夏目 - 凄く面白いです!(* ´ ▽ ` *)これからも頑張ってください!神威好きすぎて辛いですー( ;∀;) (2019年1月2日 0時) (レス) id: 3f12c19633 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:坂威瑠衣 | 作成日時:2018年9月11日 17時