■仮面とサイレンの間に■4 (ページ3)

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･その3 ページ3

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オフィス街の一角。
高層ビルが建ち並ぶなかで、航空障害灯の傍に人影がある。
屋上のフチに腰掛ける男と、その背後から歩み寄る少女。

彼は振り向かないまま、気配を感じとって労いの言葉をかけた。

ザミーゴ「よッ、お疲れさん。」

「お疲れさまです。先ほどスダルに接触しました。
明日は彼と行動します。」

ザミーゴ「そ〜か。スダル、ね。2人っきりなの？」

「えぇ、そうです。」

ザミーゴは訝しげに顎を撫でる。
なぜなら彼女と組む輩に、嫌な予感を抱いたから。

ザミーゴ「ふ〜ん、心配だなぁ。アイツ手が早いから。」

「手、ですか？足ではなく？」

ザミーゴ「ふはッ。……ナイスジョーク。」

ザミーゴはアリスの発言に吹き出す。
前もこんなことがあったな、なんて思い出しながらそう告げると、アリスは首をこくんと縦に動かした。

ザミーゴ「で？またデストラの伝令役やってんだな。
あいつも伝言くらい自分ですりゃいいのに。」

「いえ、わざわざお手を煩わせる訳には。私なら監視も兼ねられるので。」

ザミーゴ「手となり、足となり……か。」

「はい。そして、時には剣となり盾となることも。」

腰に携えた刀を握り、アリスは答えた。
自分の使命を、生きる価値を。

ザミーゴ「……はっ、イイように使われてるな、お前。」

「それが私の役割ですから。」

ザミーゴ「つまんねぇヤツ。」

ザミーゴの声が冷たく響く。
アリスを見下すような、突き放すような。
それは氷柱のように、アリスの胸に奥深くに刺さった。

しかし、彼はその言葉と裏腹に、機嫌よく口角を上げている。
アリスの顔に手を伸ばすと、頬に冷えた指先を這わせる。

ザミーゴ「……だが、そこが面白い。
だからお前を傍に置くことにした。俺はお前を……──。」

ビルを吹き抜ける強い風が、最後の言葉をかき消すように2人を包んだ。

しかし、彼は確信していた。

アリスに、その言葉が届いていると。

わずかに見開かれた彼女の瞳に、ザミーゴは満足げに笑った。

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