真実と、その果てに (ページ10)

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見知った廃墟で６ページ10

声の聞こえた方に、歩みを進めていく。

言い知れぬ不安から、その歩みは段々と早くなり、いつしか早足を通り越して私は走っていた。

微かに聞こえた声、聞き間違えてなければ、めて…と聞こえた。
その声に含まれていた微かな恐怖、推測される語句は、もしかして、やめて？

だとしたら、クロームちゃんの身にマイナスな何かが起こっている？
黒曜ランドの中なのに？さっき犬は見かけたし、犬は確実に黒曜ランド内に居るよね？
風邪気味ではあったみたいだけど、敷地内で異常があれば確実に気付くだろう。

声の元に駆け寄っていくと、複数人が言い争っているようなごちゃごちゃとした音が近づく。
もう少しで、それがなんなのか、嫌な予感の正体が姿を現すだろう。

｢は…。なにこれ……なんで」

嫌な予感は見事に的中にしていた。鼓動が早まる、目の前の情景に動揺が隠せない。
そこには、黒曜の制服を着た数人の生徒に虐められている、クロームちゃんの姿があった

｢どうして、クロームちゃんが…？」

おい犬、あいつ居たよな、どうしたんだよ。なんでこんな事が起こってるんだ。
仮にも骸様の連れて来たクロームちゃんだぞ？いや、それ以前に黒曜は完全に骸様の支配下じゃなかったのかよ。

私は、一つの可能性に気付かざるを得なかった。見て見ぬ振りの仲間
いじめられる女子、これは…いわゆるヒロイン嫌われなのかもしれない。

通りで、元のリボーンの世界観とは違う不穏な物を感じたわけだ。
実際、全く違うストーリーが展開されてるんだから同じであるはずがない。

私は原作、アニメで語られた事以上の事柄を、この世界での事情を知り得ない。
ヒロイン嫌われの可能性があるのなら、クロームちゃん悪女説だって可能性もなくはないだろう。
しかしそれにしては様子がおかし…。

｢………………｣

そうだ、私に考えている暇などない。
私は姿が消えているのをいいことに、ズカズカと黒曜生に近づき

……………蹴った、それはもう、腰元を思いっきり。

｢ぐぁっ!?｣

消えている状態で物理攻撃が効くかは考えていなかったが、難なく攻撃は通り
突然の事で当然受け身なんて取れるはずもなく、黒曜生の身体は宙に浮いた

正直そこまでの威力が出るとは予想外だったがむしろ好都合だろう。

｢なっ…何だ!?｣

突然蹴り飛ばされた仲間を見て、他の黒曜生数人は何だ何だと辺りを見回す
何だろうな、私にもわからんよ。原作外の出来事なんて。