真実と、その果てに (ページ6)

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見知った廃墟で２ページ6

一般人である私が足を踏み入れれば、隠れようがなんだろうがヤベー自体に陥るのは目に見えてるんだけど
リボーン好きとして、絵描きとして。こんな大きなネタの供給口が目の前にあるのに、散策しないなんて手は無い。と断言する。

ここで進まなければ、私は私としての信念を失ってしまう。
いや、何言ってんだコイツってのは自分でも思うよ、けどね

人間誰しも、譲れないモノってあるだろう？

「なんか私に属性が…そう、霧の属性とか持ってればね
『霧よ、まやかしの力で我を包み、現世との隔絶をもたらせ！』とかやっちゃうんだけどねー。
…いや、リボーンは魔法詠唱系じゃないんだけどさ」

適当に浮かんだ呪文を適当にぶつぶつと口にしてフッ、と自嘲気味に笑う。
オタクにありがちな過剰な独り言とセルフツッコミのコンボである。
…そのまま、自分の中にある厨二的なモノを笑い飛ばせれば良かったのだが。

「！！！ッうわびっくりしたーっ！びっくりするよもうっ！なにこれ、マジなにこれ
えー、ねぇそんなの有りなんですか、そんな暴挙が許されるんですか」

薄っすらと自分を中心に漂い始める薄紫の霧…
想像したそれが、現実の物となって目の前に現れたのだ。

ふ、ふぇえ…本気ですか…。いや本気出しすぎじゃないですか？
よくよく考えてみてください私はただのオタクであって、この世界のヒーローでも何でもないんですよ？
どの程度の能力なのかは全く見当がつきませんけど、こんないきなりなんか出せちゃっていい物ですかこれ？

「主属性、霧…だったのか。私って…」

それよりも、さっきの適当な詠唱でこれが現れたって事は、言霊より意思を優先するタイプの魔法…じゃないや、力って事なのかな。霧属性は隠密に勝手のいい属性だから、用意周到感が凄い。
何だろう、二次創作に理解のある神様サークル説が深まるんだけど。

無謀な決意から属性判明に至るまでのなんやかんやをやっていると、奥の建物の陰から犬が出てきた。
緑の学ラン型制服にクリーム色に近い金髪、顔に走る一文字の傷。
何よりここは黒曜ランド、そこについては間違いようが無い。

犬はこちらに気づいている様子こそ無いものの、その歩みは確実にこちらへと向いている。

…おっと早速マズくないか？
適当な呪文によって霧属性が発揮できたとはいえ、思ってるような力が使えているかなんて自分じゃ全くわからないし。