見知った廃墟で９ ページ13
なんだ、その…少々荒療治にはなるけど、試してみるか…？
それ以外に思いつく案が無い私の頭はポンコツだ。怖がらせるかもしれないけど、ごめんね。
んん、と咳払いをして軽く音域を下げる。
「“信じていますよ、クローム”」
「！！」
ビクッと華奢な身体が揺れる。ああ、そうよね、この手のやつしか可能性はなかったものね。
目の届かない所ならまだしも、黒曜ランド内で事が起きてる現状。
何度も言うけれど、風邪気味らしい犬以外居なかったとしても、私の侵入には気付いたのに、こっちに気付かないなんて訳が無い
それに、信じてるって言葉を骸様風に言うだけで此処までの怯え様
…黒曜組が信じてくれなくなっているのは確実、かぁ…。
「…信じてるって言ったのに裏切った人も居るみたいだし
そう簡単には、信じられ無いよね。…でも」
一呼吸置いて、言葉を探り探り口を開こうとする前に、クロームちゃんがポツリと言葉を漏らす。
「…話す。……いつまでもこのままじゃ、変わらない…。だから、もう一度…」
言葉の端々から自信のなさや怯えは見て取れたが、
今度はしっかりと私の目を見て、そう言った。
このままじゃ駄目だって、心の奥底でわかってるんだろう。
今迄信じてもらえなかったから、今度もダメかもしれないと怯えてはいるけれど
進まなければいけないから、と未来をかけて、私に話す事を決めてくれた。
私だから、という訳では無いけれど。知らない人だからこそ、なんてのはあるかもしれないな。
「少し前に…私はここに来た、骸様達と……あ、骸様はね」
「大丈夫、そのまま続けて？」
「…うん」
…クロームちゃんの話を纏めると、黒曜に来たあと少しの間は普通に皆と過ごして居たが
並盛中に愛薇という女生徒が編入して来てからというもの、段々と守護者組や黒曜組の態度が素っ気ないというか、意図的に避けているようなものに変わって来たそうだ。
そしてしばらく経った頃には、その女生徒をいじめているとする事実無根の罪を着せられ、疎まれ蔑まれ始めた。最初骸様達は信じると言ってたらしいけど、途中で裏切られてしまった。
そして現状のクロームちゃんをいじめる構図が出来上がった、と。
やはり悪女系…かぁ。それにしたって、何故関係の無い黒曜生がクロームちゃんを…？
だって悪女は並盛中に居るんだろう？だったら関連が…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルナ | 作成日時：2012年9月2日 18時
