第9話(枕。)鈴音視点 ページ9
鈴音「よーし、こんなもんかな」
ぱんぱんと手を払いながらつぶやく。
荷物の片付けを終え、部屋はすっきりしている。
うち、藤浦鈴音は今日からこのアパートの住人だ。
新しい、自由な生活に心が躍る。
実は、うちは家出してきたのだ。
うちの家は…自分で言うのもなんだがお金持ちの部類にはいるらしい。
だから、家中の棚を漁れば何ケ月かは暮らせるお金が手に入る。
バレたら確実に親に殺られるけど…まあしばらくは戻らないし。大丈夫でしょ。
うちの親は過保護で厳しくて、いつもいろんなことを束縛されていた。
起床時間、就寝時間、外出、食事、遊び、交友関係までもだ。
言う事を聞かないと…まぁ、痛い目にあう。
毎晩隠れてネットをしているうちに、自由な生活に強い憧れを抱いた。
やりたいことが、行きたい場所が、たくさんある。
でもそれはここに居ちゃできない。
だから、うちはあの家を出た。もううんざりだった。
手に冷たい感触を感じて視線を向けると、手には小さな指輪が指輪がある。
いつかの彼に貰ったものだ。あいつは、正直あんまり好きじゃない。←
…ていうのは嘘。あいつは…元カレ、というべきなんだろうか。
いや別れてはいないんだけど、勝手に家を飛び出してきたから、もうしばらく会わないだろう。
思い出すと泣きそうになったから、勢いよく体を起こしてぶんぶんと首を振って気持ちを切り替える。
せっかく手に入れた自由な生活、楽しまなきゃ損だ!…あいつにはまた会いに行けばいい。
…そういえば、宿主の望さんがほかにもたくさん来るって言ってたけど…
どんな人達かな。…頑張って仲良くなろう。
そう決意し、うちは新しい住人が来る期待を胸に、部屋を出て下に向かった。
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ライガット@絶賛片思い中(プロフ) - 愛李さん» あ、愛ちゃん、来たんだーwありがとねー! (2015年6月30日 19時) (レス) id: a5107bee30 (このIDを非表示/違反報告)
プリン☆(プロフ) - 愛李さん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2015年6月28日 11時) (レス) id: 46806ae94a (このIDを非表示/違反報告)
愛李 - 凄く面白いです!更新楽しみにしてます! (2015年6月22日 18時) (レス) id: 199e8597dc (このIDを非表示/違反報告)
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