第35話 (愛吹) 聖視点 ページ35
『ココネ、って言うんだ』
『はい。______』
昨日、そんな会話をして、いつの間にか眠っていたことに気づく。
時計は朝の7時過ぎくらいを示していた。
横ではボクが用意した布団に丸まって、規則正しく寝息を立てるココネがいた。
そうか、そういえばボクはココネより先に寝てしまったのか…?
なんと恥ずかしいことをしてしまったのだろう。
きっと、ボクの上に被さっている毛布も、ココネが押し入れから引っ張り出して掛けてくれたのだろう。
「情けないなぁ」
自責の念に駆られている時、ボクは不意にキッチンに転がっていたフライパンを見る。
…そういえば、昨日軽くご飯を作ったんだっけ。
ココネがお腹を空かせてるかもしれないから、割と簡単な料理を……
そう考えて、調理器具が散乱したキッチンに近づく。
何を作ったんだっけ。
「あ、肉じゃがかぁ…」
しかも結構残ってる……。
多く作りすぎたんだ。
うーん……捨てるの勿体無いしなー。誰かにおすそ分けとか……。
「そうだ、ノゾミに……」
唐突にあの、初めてあった時に抱きついてしまったことを思い出す。そして同時にあの匂いを思い出してしまった。
無性に申し訳ない気持ちと恥ずかしい気持ちが混ざって気持ち悪くなった。
「うぅ…やめておこう…じゃあ他に渡せる人……」
不意に、ボクの爪を一生懸命に見つめる少年の姿が頭に思い浮かんだ。
あっ!そうだシオン!なんだいるじゃないか、おすそ分け出来る人!
思い立ったら即行動、とはこのことをいうのか、ボクの足は軽やかに動き始め、鍋に入っていた肉じゃがを容器に入れて早速部屋から出た…。
「シオンは確かー…一個挟んだとこだったっけか?」
304号室。彼はそこにいるはずだ。
寝ているかもしれないけど……同性だと考えたら異性よりかは…まぁ、気持ちは楽だよね!
服装はラフなジャージのまま、そして両手には肉じゃがが入った容器を持つ。
……目の前に、立ちはだかる304号室の壁。
ドーン………という効果音が聞こえてきそうだ。
「お、お、押そう。押したら気持ちが楽に……」
インターホンを鳴らそうとした次の瞬間だった。
6人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ライガット@絶賛片思い中(プロフ) - 愛李さん» あ、愛ちゃん、来たんだーwありがとねー! (2015年6月30日 19時) (レス) id: a5107bee30 (このIDを非表示/違反報告)
プリン☆(プロフ) - 愛李さん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2015年6月28日 11時) (レス) id: 46806ae94a (このIDを非表示/違反報告)
愛李 - 凄く面白いです!更新楽しみにしてます! (2015年6月22日 18時) (レス) id: 199e8597dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ