貴族とは不相性。 ページ43
窓の外を眺めればボサボサの髪を揺らしながら先程リヴァイが投げた手紙を必死に探しているハンジの姿があった。
「チッ、汚ぇな。」
リヴァイが四つん這いで駆け回るハンジを見て顔を顰める。
「同意。」
私もリヴァイに言葉を返せばリヴァイは私を一瞥した後、執務室の扉を開ける。
もう慣れた部屋には相変わらず埃すら落ちていない、異常なほどの潔癖もどうにかならないものか、リヴァイがこうも潔癖だと気を遣う。
…まぁ、今更私が言ったところでリヴァイの潔癖が治る訳でもないのだけれど。
「お前の分はこれだ。」
「……多い。」
「エルヴィンに言ってやれ。」
「……。」
そう言って渡された書類にゲンナリと顔が歪む。エルヴィンの奴、と悪態をついてしまうのも仕方がない、私がリヴァイの執務を手伝った日からエルヴィンの追加書類が後を絶たない。
休む暇もない、非番も与えられていない私達は常に書類と向き合っているような気がする。全くこれじゃあ、過労で死んでしまう。
「壁外調査資金提供…何これ?」
一枚の紙に書かれた言葉。リヴァイは紅茶を淹れていた手を止め「ああ、」と僅かに目を細める。
「壁外調査にはそれ相応の金が掛かる、罵倒や悪罵が当たり前の俺達だが物好きな貴族は調査兵団に資金援助を申し出る、まぁ、それも稀だがな。…記入欄にはブックレット伯爵と書いておけ。くれぐれも記入漏れがねぇようにな。」
「へぇ、税金の無駄使いだの巨人に餌を与えてやってるだの、好き放題言われてる調査兵団もまだ完全には見捨てられてはいなかった…って事なのね。」
「…違うな、言っただろうが、『物好き』な貴族だと。貴族にまともな思考回路を持った奴はいねぇ、大方何の結果も得られていない俺達への見せしめだろう。」
「莫大な資金を援助する事によって調査兵団にプレッシャーを与えるって事?」
「だろうな。」
「…悪趣味の程がある、いくら内地は安全が保証されてるからっていつ巨人が壁を突破するのかも分からないのに、お気楽な人達ね、脳みそを取り除いてみたい。」
「同感だ。」
ふ、と笑ったリヴァイは私の前に紅茶を置いた。
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作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月15日 11時