思い出せない、追憶。 ページ4
「……ルイ!」
「……ッ!!!」
軽くなった瞼を開ければそこにはリヴァイのドアップ。無意識に息を止めていたのか、はぁ、はぁと肩で息を繰り返していくうちに冷静になっていく頭の中。リヴァイの怪訝そうな顔が視界に入り、ふ、と鼻で笑ってみる。
「寝込みを襲うつもりだったの?リヴァイ。」
「…てめぇのその糞みてぇな口を縫い付けてやろうか。」
「……冗談よ、ごめんなさい。」
「笑えねぇ冗談を言うな。」
呆れたようにして私から離れたリヴァイ。そんなリヴァイに気づかれない様に小さく息を吐いた。…何だか途轍もない悪夢を見ていた気がする、だけど…内容はなんだったっけ。
「随分と魘されていたが、嫌な夢でも見たのか。」
「ええ、そうみたいね、だけど思い出せない…。」
「……お前の脳みそん中はどうなってるんだ。糞でも詰まってるんじゃねぇのか。」
「はぁ、私だって思い出したいわよ、重要な気がするから。なのに、どうしても思い出せない。」
「チッ、世話の掛かる女だなてめぇは。」
リヴァイの毒舌も返す気にならないくらい、頭が重かった。片手で顔を覆う。頭が熱い、思い出そうとすればするほど記憶が遠ざかっていくような錯覚に陥りそうになった。
すると、リヴァイが椅子にドカッ、と座り腕を組み私を睨んだ。三白眼の双眸が鋭く細められる。
「てめぇのその原因不明の意識障害は厄介だ、壁外となると直ぐに死ぬ。」
「……そうね。」
現に私は立体機動訓練をしている最中、なんの前触れもなく意識を飛ばしてしまった。もしこれが壁外調査だったらと思うとさっきまで熱かった体が冷えていくような感じがした。
「てめぇのせいで誰かを殺したくねぇなら、命令だ。早急にどうにかしろ。」
「……。」
どうにかしろって……どうにかできる問題ならこんなに悩んでないっての。
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作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月15日 11時