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「っ、美味しい。」
「なら良かった。」
矢張りリヴァイ兵士長は紅茶のプロだ。あたしがバタフライピーに手を出さなかったのは淹れ方が他の紅茶とは異なり少し独特だったから。
色や味が他の紅茶とは違う。それに失敗したくもなくて中々バタフライピーに手を出せなかったがリヴァイ兵士長が淹れてくれた紅茶はどれも本当に美味しい。まるでどこかの高級茶葉を使用しているようだ。睡魔が一気にどこかへ飛んでいく。
リヴァイ兵士長をチラリ、と見上げれば彼は伏せ目がちに紅茶を口に含んでいて。朝の光に照らされたリヴァイ兵士長の漆黒の髪が艶やかに光る。
……昨日の出来事は本当に現実だったのだろうか、とまだ熱の篭もる唇に手を当てた。夢見心地だ。だってまさかあのリヴァイ兵士長と気持ちが通じるだなんて。
「まだ物足りねぇのか?」
「そんな事ありませんっ!あ、あんまりからかわないでください…。リヴァイ兵士長は慣れているかもしれませんがあたしはその、恋愛に関して未経験です……。」
その時、リヴァイ兵士長の瞳と目が合う。唇に手を当てていたあたしは沸騰したかのような顔の熱さに息を止めた。
「悪いな、俺もその辺の事に関しては無知だ。」
「へ?」
リヴァイ兵士長はモテる。それは有名な話だ。だから恋愛経験は豊富だと思っていた。だけど今のリヴァイ兵士長の顔はとても真剣で、嘘をついているように見えなかった。
「この歳になるまで誰かを特別視した事もなかった。…まぁ、昔は家族として大切にしていた奴らは居たがそれとこれとはまた違う感情だ。」
「……。」
「安心しろ、こうやって柄でもねぇ言葉を囁いて触れたいと思うのは、これから先もお前だけだ。」
口をパクパクと開けるジゼルにリヴァイが鼻で笑う。
純粋な反応が面白くて自然と口角があがった。バタフライピーを吹き出しそうにしながら恥ずかしそうに顔を俯けさせるジゼルの頭に手を置いたリヴァイ。
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作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月30日 13時