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「なら良かった。睡魔も飛んだ事だろう。」
「なっ！それはもう言わないでください！！」
不敵に口角を上げたリヴァイ兵士長に慌てて抗議する。仕方がない、否、勤務時間内なのだから仕方がないでは済まされないのだけれど。
ふわり、と頭に乗ったリヴァイ兵士長の手に自然と瞼を落とした。
「まあいい。そろそろ仕事に戻れ。」
「ふふ、リヴァイ兵士長。」
「……なんだ。」
「新型立体機動装置が目標値に達したら、また壁の上に連れてってください。」
あの日見た幻想的で神々的な景色を思い出した。まるで2人だけの世界にいるような気がして堪らなく心地よかった。
リヴァイ兵士長の手に自分の手を重ねれば驚いたように目を僅かに見開いたリヴァイ兵士長。心做しかその眼球は少しばかり揺れている気がした。呆気に取られたようなリヴァイ兵士長の珍しい表情にクスクスと笑みが零れる。
「お前は上官に指図する気なのか？」
「そういう事を言ってるんじゃありません…。リヴァイ兵士長の事は上官としてとても尊敬しています。だけど今あたしが言ったのは仕事関係なく、」
「いや、いい。わかった、わかってる。」
「？」
仕事絡みではない。今は上官としてではなく、ただただ二人の時間を堪能したい、と伝えたかったのにリヴァイ兵士長に遮られてしまった。
「…お前が望むなら幾らでも連れてってやる。だが壁に登りたいなら夜だ。日が昇ってる間は人目につきやすい。駐屯兵団の腰抜け共に捕まってしまえばシャレにならねぇ。」
「ふふ、はい、分かってます。」
改めてお礼を言いたくてリヴァイ兵士長を見上げようとすればリヴァイ兵士長の手で視界は遮られる。慌ててリヴァイ兵士長の手をどかそうとすればリヴァイ兵士長はそれ以上の力を込めてあたしの視界を遮る。まるで見るな、とでも言われているようだった。だけど、
「……リヴァイ兵士長、耳が、」
「やめろ、言うな、お前の見間違いだ。」
「……。」
真っ赤ですよ、と言いかけたのだがそれは叶わなかった。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
