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「……ミカサは知ってるの?」
「……知ってる、というより見掛けた。」
「…そっか。」
コニーとサシャは何やら2人でパンの取り合いをしていた。そんな二人を他所にミカサの真剣な目にジゼルは小さく笑う。
「…気にする必要はない。ジゼルが優しくした分、ジャンは傷つくだけ。今はひとりにさせてあげるべきだと思う。」
「何となく話が分かった気がするけど、僕もミカサに賛成だよ…。ジゼルは今やるべき事に集中して。ジャンなら大丈夫、僕達がついてるし何よりエレンが居る。ジャンとエレンは仲良いからきっと明日にはいつもの様にエレンと口喧嘩してるよ。」
「……だといいんだけど…。誰かに告白されたのってジャンが初めてだから、断り方とか間違えちゃったのかもって気にしてたところなの。ありがとう、ミカサ、アルミン。」
でもまたいつかジャンと話せるといいな、と呟いたジゼルにミカサとアルミンは笑う。途端、穏やかな空気が食堂を漂わせた、その時
「はぁ、疲れた……。」
「エレン!」
ゲンナリとした顔つきでエレンが椅子に座る。ミカサがいち早くエレンに反応し、エレンの体を隅々まで調べていく。
「エレン、あのチビに何かされてない?あいつはチビな上に性格も最悪だから。」
「……何もされてねぇよ。ただちょっと頭を使いすぎたというかなんというか。」
「頭!?あのチビ、エレンの頭に何したの?!」
「ミカサ、落ち着けって…。どうって事ねぇよ、ただ俺が暴走した時の為の対処法ってやつ。」
「あの、糞チビ…。いつか、いつか本当に削いでや、」
「ミカサ!!」
ミカサが予め置いておいたエレンの食事。エレンは食事にありつきながらも何度も大きな溜息を零していた。そんなエレンの疲れ切った様子を見たミカサがナイフを握る手に力を込める。ミカサからは途轍もない殺気を感じた。
そんな中、顔を青白くさせたアルミンがミカサの名前を大声で呼び、ミカサの言葉を遮った。否、正確にはミカサの口にパンを詰め込んだ。
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作者名:るかこ。 | 作成日時:2020年4月30日 13時