episode 38 ページ2
「やっちゃん?私たち初対面だから、やっちゃんが私のこと知らないのは当たり前だよ〜」
「え!?初対面でこのコミュ力……!?」
「私、A。青葉城西の一年生。今回はよろしくね!」
「よよ、よ、ヨッ、ヨロシクオネガイシアスッ!」
なんだか緊張気味のやっちゃん。私のせいで固まってしまった彼女をどうしようかと思っていると、後ろからゾロゾロと近づいてくる私の学校のいかつい人たち。
日向くんの後ろにいる影山を睨みつけている。
まったく、もう……。
「A、早くこっち来て。お前はどこのマネなんだよ」
「見苦しい嫉妬は御法度だよ、くにみん」
「は?嫉妬じゃないし」
くにみんに腕を引かれて、青城の方へ引きずられていく。
まあ良いか…今は、とりあえず自分の学校の事をしなくちゃ。
「私、澤村さんにどの部屋使えば良いか聞いてきます」
「ああ、よろしく」
岩泉先輩に許可を取って、澤村さんを探す。
すると、曲がり角で思い切り鼻をぶつけてしまった。誰かに。
「いったぁ……」
「…チッ……余所見するなよ」
!?っ!?え!?舌打ちした!?
驚いて顔を上げると、ものすごく鬱陶しそうな顔をした金髪眼鏡と目が合った。
「ツッキー、大丈夫?」
「…こんなチビとぶつかった程度で何かあるわけないデショ」
「!?」
チビ!?
聞き捨てならないんですけど!?
しかしここは大人の対応だ。
「……ごめん」
「めちゃくちゃ不満そう」
「お前も謝れ!!」
「…………ゴメン」
めちゃくちゃ嫌そうな感じで謝られたけど、なんだこのいけ好かないクソ眼鏡は!!
隣の男の子の方が何倍も優しそうな顔をしているし、ごめんね、と別れ際に言ってくれたし。
ふざけんなよ!!
ぷんぷんしながら澤村さんを探していると、前を歩く大きな3人を見つけた。
「澤村さん、スガさん、東峰さん!」
「お!Aー!」
「Aちゃん」
「どうしたんだ?」
全員で振り返ってくれる烏野の三年生の皆さん。潔子さん含めて、とっても大好きだ。
「部屋割りを確認したくって…それにしても、あの金髪眼鏡、なんなんですか?さっきぶつかった時ものすごい顔されました」
「月島だな…すまん…」
「部屋割りの紙渡してなかった、ごめんごめん」
呆れたように溜息を吐く澤村さんと、部屋割りの紙を渡してくれるスガさん。東峰さんはいつも通り私のことを小動物でも見るような目で見つめている。
3人にお礼を言って、私は及川さん達の元へ戻ろうとした。
プリントを歩き見ながら。
それが良くなかったのだ。
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