episode 37 ページ1
「及川徹!!!!!」
「えっ!?何!?A!?ちょ、乗らないで、重い!」
「私に重いとは何事ですか!?じゃなくて、何か私に言い忘れてることがありますよね?」
帰った瞬間、及川さんに馬乗りになって襟首を掴み上げる。
周りのみんなは、また及川さんが何かやらかしたのだろうと思って助けはしない。
「来週。宮城。合宿」
「……あー!Aに言い忘れてた!!」
ごめんごめん☆と、全く反省の感じられない及川さんを睨みつける。
「おい、A。歳頃の女が男に馬乗りになるんじゃねえ」
「岩泉先輩、離してください!私は必ずこの男を葬ります。大丈夫です。証拠隠滅は完璧です」
「ならいいか」
「良くないよ!止めるならちゃんと止めて、岩ちゃん!」
及川さんは体を起こして、私を上から退かせる。
「日向くん、そっちの主将とこっちのアレ交換しようよ」
「ちょっと酷すぎるよ!!ごめんって、許して!」
「及川さんなんて私のこと嫌いなんですよ。だから合宿に連れて行ってくれないんだ。潔子さんのこと、独り占めしようとしてるんだ!!誰にも渡さないからな……」
「ごめん、ごめんって!!またコンビニスイーツ奢るから!」
「…じゃあ許します。ごめん、日向くんと影山。変なとこ見せて」
私は及川さんのてきとうさに深い溜息を吐いた。
そして、1週間後。
合宿の場所である烏野に向かった私は、着いて早々、出迎えてくれた潔子さんに抱きついていた。
はあ…♡実に半年ぶりの潔子さん……♡良い匂いする♡
「久しぶりだね、Aちゃん。元気だった?」
「元気でしたよ!でも潔子さんと会えたので、超元気になりました」
「ふふ」
潔子さんは私の頭を撫でてくれて、自分の幸せ者さ加減に涙が出そうだ。
私は今回の合宿で、マネ業もそうだけど、潔子さんから色気の極意を学ぼうと意気込んでいる。
まさに色気の塊だもの。
「あっ!A〜!」
「日向くん、影山!一週間ぶりだね。背伸びた?」
「馬鹿にしてる!?」
「日向!先輩たちが呼んで……」
潔子さんの影から顔を覗かせれば、きょとんとしている女の子と目が合った。
えーっと、確か、新しく入った烏野のマネージャー…。
「やっちゃん!」
「え!?申し訳ありません……!」
「え?」
なんで謝るの…?
土下座を始めてしまったやっちゃんの声を聞く。
「こんな美女のお名前を忘れてしまっているなんて不甲斐ない…ファンの方々にも申し訳ない……はっ!?もしかして、不敬すぎて殺され……」
「!?」
殺……?
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