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人間になることは許されない ページ3

Aは夢を見ていた。
幸せな、笑い合っている記憶。

兄と弟が傍にいて、二人にAは花冠を作っていた。

とても幸せな、でも何故か悲しい記憶。


「ッ…はっ…!」
「目が覚めたか?」


自分にかかる影の主に目をやる。
そこには優しく微笑む煉獄がいた。

(この人、私が柱になることに反対していなかったかしら…?何故笑っているの?)

Aは自分に笑いかける煉獄に困惑した。
意味がわからない。

起き上がろうとすると、少しだけ体が痛んだ。そこまで痛くないのも、鬼の特性なのかもしれない。
Aが体を起こすと、煉獄は困った顔でもう少し眠っておけ、と釘を指す。


「煉獄さん…あの…」
「なんだ?」


初めて自分から話しかけてくれた、と少し嬉しくなった煉獄は、いつもより明るい声で返す。
そんな煉獄とは裏腹に、Aは煉獄の羽織を握った。

その弱々しい力に、煉獄は優しく微笑みかけ、Aの手をそっと握る。


「あの人は…あの男の方は…逃げられ、ましたか…?助かり、ましたか」
「!」


Aの口から漏れたのは、予想もしなかった言葉だった。
こんなボロボロになっても、あの人間のことを気にするのか。

人間よりも人間らしいじゃないか。

Aは、懇願するような瞳を向ける。
頼む、助かっていてくれ、と。

しかし、煉獄の発する答えはAの望むものではない。


「あの人は亡くなった。食われはしなかったが、出血が多すぎた」


決してAのせいではない、と煉獄は伝えたかった。
しかし、その慰めの言葉もAの顔を見た瞬間吹き飛んでしまった。

(何故そんな顔をする)

絶望したような、希望がないような、悲しそうな顔で、Aは静かに涙を流していた。


「ッ…A…」


思わず煉獄はAの華奢な体を抱き寄せる。
Aはそのまま、逞しい腕に抱かれて泣いた。

また助けられなかった、また死なせてしまったと。
自分には一人の人間を鬼から助け出すことも、ましてや守ることもできなかった。

自分を強く抱き締める大きな体に、小さな子供のようにすがり付く。

自分は何をしても、人間にはなりきれないのか。やはり自分は鬼になり下がったのか。
自身の無力さに泣くこの自分も、全てが嫌いだ。

声を押し殺して泣くAを、もっと強く抱き締めた煉獄はゆっくりと彼女の頭を撫でる。
安心させるように、なにもかも忘れられるように。

自分を責めなくても良いのだ、と。

煉獄は、すがるように煉獄の羽織を握るその小さな手を守りたいと、そう思った。

悶える炎柱→←【水】の血鬼術


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松々先輩(プロフ) - 三月の専属ストーカーなつめみくさん» ありがとうございます!また書き始めますので、これからもよろしくお願いいたします。 (10月13日 17時) (レス) id: 5b61614070 (このIDを非表示/違反報告)
三月の専属ストーカーなつめみく - あっ…すき。 (10月13日 16時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松々先輩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2022年9月28日 12時

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