いや、私女子なんだけど。【番外編】

城間’s birthday 9/10 ページ21

side城間


小川「なあ瑠璃〜！」
城間「その名前で呼ばないでくれますか？」
小川「お前……ちょっと頑なすぎへん？」


ひっついてくる小川先輩を剥がしてトスの練習をする。
そういや今日誕生日やろ？と言う小川先輩。


城間「…そうですけど…なんですか？」
小川「Aちゃんが探してたで？城間くんどこですかー？とか、あの子ほんまええ子やな」
城間「…可愛いっすね」
小川「かわええな」


ニッと笑う小川先輩を睨んで、きっとココにいればAも気づくだろうと、またトスを上げた。


そして、何時間経ったのか、空はすでに黒い。



城間「あの、小川先輩。A俺のこと探してるんじゃないんですか」
小川「おっかしーな…でも俺んとこには城間くんどこですかーって来たで？かわええな」
城間「可愛いっすね」



もしかして帰ったんちゃうん？とあっけらかんと言い放つ小川先輩の言葉にボールを落とす。

えっ…帰……っ、た…？


城間「冗談ですよね？冗談って言ってくださいよ？冗談ですよね？」
小川「じょ、冗談やって……でもほんまに、どしたんやろ」


Aちゃん帰ってこーへんし…と心配そうに入り口を見る小川先輩。
確かにそうだ。マネ業は今日はいいと言ったが、練習拝見〜とか言って学校に来ると言っていたはず。


どうして…？



城間「まさかっ……事故！？」
小川「城間、Aちゃんのこと溺愛するんは全然ええんやけどな、お前ちょっと溺愛しすぎや思うで」


度が過ぎたら犯罪と言う名前の過保護に変わるからな〜、とスパイクを打ちながら言う小川先輩に例えば？と聞く。
そういえば、小川先輩先輩から下ネタの部類を聞いたことがないような…。


小川「ぇ、えっと…例えばってむずいな…監視…？」
城間「思っていた以上に純粋な答えが返って来ました」
小川「え？」


俺もう帰ろうかな……と思い始める。
こんな夜遅くになると、Aも帰ってんだろ。

一人暮らしって言ってたしな。



そう思って片付け始めると、城間くんいますか！？と息を切れ切れにしながらAが顔を覗かせる。


城間「！A！！心配したんだぞ！？どこ行ってたんだよ、まさか学校内で迷子とかじゃないよな……？」
「冗談言わないで城間くん。私ここの学園長の姪っ子なんだから。昔からこの学校には来てるのよ。慣れてるわ」


プレゼント忘れちゃってね、とはぁ、と息を吐くAを抱きしめると、汗臭〜、と言いつつも抱きしめ返してくれた。


こんなに幸せな誕生日は初めてだ。

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