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〜25〜 ページ28

何度叫んでも、どこまで歩いても、どれほどあなたを探しても。
見つかるはずがないのはわかっているけど。


「一松…!」


何度でも、あなたの名前を呼んでしまう。

もしかしたら、また…って、ありもしないことを考えて。
あっちに行けたのが奇跡なのに、その奇跡をもう一度なんて、図々しいにも程があるんじゃないかな。


それでも私は…。


ギュッと握りしめた手が痛い。
祭りに来ていた人たちは、弟さんですか?と、私がしきりに名前を呼ぶ人を一緒に探してくれようとする。

でもね、見つからないの。
絶対に見つからない、だってあの人は私と同じ空間で生きていないから。


「どうして…」


突然この世界に戻ってきたんだろう…。

最初はなんだっけ?あぁ、階段を踏み外したんだ。

運悪いなんて思ってたけど、きっとアレが私にとって最大の幸運。
あのあと一松に会えて、しかも仲良くなって…こんなに幸せなこと、普通はないよね。


突然だなんて、ひどいじゃない。

お別れも、何も言えてないのに。


「はぁー…え…雨……」


河川敷で座ってこれからのことを考えていると、サーッと霧のような雨が降ってきた。
悲鳴を上げながら雨をしのげる場所を探す人たちの声、傘をさしてお祭りを楽しむ人たち。

みんな幸せそうな顔をしていて。

悩みなんて頭の隅に追いやられているような、そんな顔。


「いいなぁ…」


さっきまでは私もあんな顔してたんだろうなぁ。
…あーぁ、わかんないな。これから、私どうやって笑えばいいのか。


一松が生活から消えただけで、ここまでの喪失感が生まれるなんて誰が思っただろう。

私だって、こんなに悲しいなんて、思わなかった。



「おーい!!そこ雷落ちる!!危ないぞ!!」


?なんて言ってるのか、聞こえない。
必死に何かをこっちに伝えようとしてくれていることはわかるんだけど…。

その時、ピカッと背後が光り、それと同時に耳をつんざくような音が聞こえた。


「ッ…」


“芝生とかさ、草って、雨が降って、雷が落ちるとすぐに感電するから危ないんだよね”

いつの日か、小学生の教え子にそう教えたことを思い出す。
あぁ…雷落ちたのか、なんてゆっくり考えられるほどの時間はあって。


私はそっと目を閉じた。






..

...

..




「Aッ…!!目醒めた!!」
「え、一松…」
「おー!良かった〜、急に倒れたって聞いて、ビックリしたよ」


……あれ、戻って…る……?

混乱しながら周りを見渡す。

どう見ても、松野家…だよね。
戻ってきたの…?

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松々先輩(プロフ) - 月花さん» ありがとうございます!!これからお話は急展開…できればいいな、と思います!頑張ります!! (2020年10月5日 0時) (レス) id: 884552bd5f (このIDを非表示/違反報告)
月花 - すっっごい面白いです!頑張ってください! (2020年10月4日 23時) (レス) id: 23cb55ce5b (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - Rain☆さん» ありがとうございます!!了解です!頑張りますね! (2020年5月14日 22時) (レス) id: a6e4fce6a1 (このIDを非表示/違反報告)
Rain☆ - 一松!!もう本当に尊いです!一番の推しです!更新頑張ってください! (2020年5月14日 14時) (レス) id: 3af4d419c0 (このIDを非表示/違反報告)
なー。(プロフ) - ですねー、おそ松さんも3期期待です! (2019年12月11日 18時) (レス) id: 13b122a5bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松々先輩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年2月23日 23時

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