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その時。


prrrr


スカートのポケットの中に入っている携帯が振動する。
震える手でそれを掴んで、ピ、っと通話ボタンを押した。

この際誰でもいいから助けてくれ。

出来るだけマシな人でありますように、と願いを込めて耳に当てる。


すると、聞こえてきたのは鈴のような女の子の声。


『生きたい?』


そう言う声に、何故か聞き覚えがあって。
驚いて目を見開く。


「生き、たい」


かろうじて絞り出した声は、ありえないほどに掠れていた。
それでも、電話の主は優しい声で、そう、と呟く。


ピチョン


静かな水音が、あたりにこだました。

そっちを見ると、あの沈んだ友人が。


思い出した。


あの声は……あの声は、あの女の子の声だ。

綺麗な緑の瞳の女の子は右手に小瓶を握りしめ、左手に携帯電話を持っている。
その真新しい携帯電話に見覚えがあった。


『新しく買ってもらったんだ』

そう言って嬉しそうに笑うあの子の顔が浮かんで。


十四松を見ると、呆気にとられたような顔で女の子を見つめている。


邪悪な霊がその子に手を出そうとするけど、周りの空気に触れただけで浄化されてるみたいだった。


それもそのはず。
あの子の家は、この前一松と行った廃墟に住んでいた巫と並ぶほどの力を持つ、この国の二大巫家と呼ばれていた家なのだ。(私の家は巫以外もやってるから例外)


「凄いです!!霊になるとやはり霊力はアップするんですか?」
「まぁ……少しはするよ。久しぶりだね、A。なんか子供っぽくなった?」
「失礼ですね…これでも一応高校生になったんですよ」


霊と親しく会話をする私を見て、首を傾げる十四松。
十四松になら、この子が誰なのか教えてもいいかな。


「十四松。こちら、あの未解決の行方不明事件の被害者、東宮(とうぐう)様です。この国の二大巫の家のご令嬢ですよ?」
「凄い人〜?」
「そうですね、凄い人です」


Aの方が凄い人よ、と笑う女の子は、少し悲しそうな顔をした。


「あたし、もうそろそろ行かなきゃ」
「行く?どこにです?」
「ずっと気がかりだったんだ。あのあと、きっとAは犯人だって言われて傷ついたはずだって。だから、あの世に行く前に絶対にAを見なきゃって。まぁ心配することなかったかもしれないけど…」
「でも…私が、あの日ダムに行くなんて言わなければ……」
「行ったのはあたしだから、私が悪いよ。それより来世でも、一緒に遊ぼうね!あとお兄ちゃんよろしくね」


そう言って、最後まで笑顔で消えていった。

〃→←〃



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松々先輩(プロフ) - 松野美海さん» 自我失礼します……私の推しはもっぱら一松です……あの卑屈感がたまらないです最高です (2022年9月30日 0時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
松野美海 - 凄く面白いです!最初から読んでたら時間が…!つい夢中になってました!更新頑張って下さい!待ってます!ちなみに松々先輩さんはなに松推しなんですか?私はチョロ兄です☆((( (2022年9月30日 0時) (レス) @page28 id: b94de068e4 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - kuuさん» 一「ほんとに、ムカつくよね……一定数いるよ、あーゆうクズ…あ、僕もそれなりにクズだけど。フヒヒ……応援ありがと、励みにしてこれからも頑張るね…」 (2022年1月27日 3時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 子犬の話し本気で泣きました!なんかすごく話しなんですけど腹たちました!こんクソ野郎!すごく怪奇百鬼夜行の話大好きです^ - ^応援してます (2022年1月26日 8時) (レス) @page23 id: 1c1723a482 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 月花さん» チ「あぁ、そうだね、ありがとう。もう4作目になるんだね。これからもよろしくね」夢「えっ、それで終わりですか?もっとあるでしょう!!えーっと、この作品を読んでくれてありがとうございます!是非次回のお話も楽しみにしてください!ありがとうございました」 (2020年10月5日 0時) (レス) id: 884552bd5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松々先輩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2020年2月20日 23時

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