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「まぁとりあえずは様子見って事で」
「そうですねぇ…」
私的には一刻も早く外したいんだけど。
仕方ない、外れないんだから。
…怒られるかもだけど、一回くらいお兄ちゃんに相談しようかな…私より力の弱いお兄ちゃんがこれに勝てるのか…。
「ぁ…あの、お兄ちゃん…この前の指輪なんだけど」
「…あれ持ってへん?」
「そ、そう…私、はめちゃって…取れないの…」
おいおい、と頭を抱えたお兄様は私の左手を取って指輪を撫でながら話し始めた。
この指輪はリサイクルジュエルショップから頼まれた依頼品で、どうやらそのジュエルショップの中で一番美しいのですぐに売れるのだそう。
それなのに必ず返品されるのだ。
どのお客さんも、同じ言葉を呟いているのだと言う。
『女が来る』と。
「どうも前の持ち主が、執着心の強い人やったみたいや」
「でしょうね…物は持ち主に似ると言うし」
ほんまぴったりくっついて離れへんやん、と困ったような声をあげるお兄様。
「これやったら俺の妹が誰かに取られるみたいや!許せへんで!」
「そこ?」
でも本当に綺麗なエメラルドだ、と思いながら触っていると、指先に痛みが走る。
紙で切れたみたいな。
お、驚いた…。
「A!?ど、どど、どうしたん!?切れたんか!?今からでもええすぐに外すでそれ!」
「落ち着いて、ただ少し切れただけ。この指輪のせいとは限らないし」
やけど、と心配そうなお兄ちゃんにはあと一日待って、と言っといた。
じゃないと本気で指輪切りかねなかったから。
これは一応依頼品だし、壊すなんて以ての外。
「私が外すから!」
「うーん…なんかあったら言うんやで?」
わかったから、と言って自分の部屋に行く。
ほんとに心配性だな、お兄ちゃん。
とりあえず早くこれを外さなきゃ、ほんとに指輪を壊しかねないよね。
…明日私の結界で外してみるか。
私の結界は強くて、きっと曰く付きのものだったら磁石のN極とN極みたいになる筈だし。
「ってことで、結界を張ってみようかと」
「成功するの?」
「いえ、わかりません」
そして昨日の夜、確かに襖に月明かりで女の影が映し出されていた。
小さく聞こえたのは、指輪を返せ、と言う低い声。
でも私の部屋には結界を張っていたから、中には入って来れなかったみたいだ。
「でも今回の霊、とても力が強いんですよ」
「なんで?」
「私の部屋には結界が張っています。守護に特化した燕羽家の結界です。それを、腕だけですがくぐり抜けてきました」
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松々先輩(プロフ) - 松野美海さん» 自我失礼します……私の推しはもっぱら一松です……あの卑屈感がたまらないです最高です (2022年9月30日 0時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
松野美海 - 凄く面白いです!最初から読んでたら時間が…!つい夢中になってました!更新頑張って下さい!待ってます!ちなみに松々先輩さんはなに松推しなんですか?私はチョロ兄です☆((( (2022年9月30日 0時) (レス) @page28 id: b94de068e4 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - kuuさん» 一「ほんとに、ムカつくよね……一定数いるよ、あーゆうクズ…あ、僕もそれなりにクズだけど。フヒヒ……応援ありがと、励みにしてこれからも頑張るね…」 (2022年1月27日 3時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 子犬の話し本気で泣きました!なんかすごく話しなんですけど腹たちました!こんクソ野郎!すごく怪奇百鬼夜行の話大好きです^ - ^応援してます (2022年1月26日 8時) (レス) @page23 id: 1c1723a482 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 月花さん» チ「あぁ、そうだね、ありがとう。もう4作目になるんだね。これからもよろしくね」夢「えっ、それで終わりですか?もっとあるでしょう!!えーっと、この作品を読んでくれてありがとうございます!是非次回のお話も楽しみにしてください!ありがとうございました」 (2020年10月5日 0時) (レス) id: 884552bd5f (このIDを非表示/違反報告)
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