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35話 ページ37

「あっ、あの〜…今言うのあれだけど…私、暗いとこ怖くて…」
「は?そんな弱みがあったのか…へぇ……」
「うわぁああん!やっぱり言わなきゃよかったあぁあ!!」

怪しく笑うカラ松の顔を押して出ようとする。
が、腰に手を回されて動けない。

「離してよぉお…」
「いや、な。正直タッティなんだが、今離すわけにいかない」
「なんでぇええ…」
「俺がもっとお前とくっついていたいからだが……?」

そんなことを耳元で囁かれ、顔が赤くなる。
……今は、暗くてよかったかも…。


「……私」

私は……。


にわかに大人しくなった私を不思議に思ったのか、カラ松が私の体を抱き寄せた。


トク、トク、トク…と一定で、でも速い速度で心臓が動く。


「私、も…」

ガチャッ


「え?」
「は?」
「ん?」

視界がパッと明るくなった。
どう言うことだ、何があった。

頭がついていかない状況で、先に口が動く。

「じゅ、十四松…」
「カラ松にーさんとA何してんのー!?」
「…かくれんぼ」


鬼誰よ!と頭の中で自分に突っ込む。
だが5歳児の十四松はその答えで満足したようだ。

そっかぁ、とにこやかに笑ってやきうしに行った。


「はああ…良かった……」
「……あぁ、そうだな。じゃ、続きを……」
「するかよボケ!!」


激しいツッコミをして、走って逃げる。
ダメ、ダメ。抑えなきゃ。

私だけの恋なんて、すぐ終わってしまうんだから。

片思いは片思い。それ以上、私も望んでない。


「っ……なのに…なのに、どうして……」

どうして、こんなに苦しいの?

わかってほしい、でも知らないでほしい。


息苦しさを抑えて、建物の間の狭い道に入った。

壁に手をついて下を向くと、草が満足に生えない地面にポタッと水滴が落ちる。


なんで、泣かないといけないの。


カラ松なんかのためになんで…?


「好き、だなぁ……」


もう、抑えられない。
どうしようもない。


どうすれば、恋をやめられる…?


ねぇ、なぜ人は恋するの?


教えて、誰か____。



「A…」
「っ…………!」


この声は。

真面目なのが似合わない。いつも笑ってて安心する声。



「……どうしたの、おそ松」


私は笑顔を作って振り返る。



これは偽りの笑顔。それを気づいているおそ松は苦しそうに笑った。


「なんでもない」



苦しそうなのは、どうして…?

そう訊くこともできず、私はいつも通りおそ松の腕に飛びつく。


あー…似てるなぁ。

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松々先輩(プロフ) - 進撃のカラ松さん» いえいえ〜!こちらこそありがとうございます!あと1話、番外編がありますので、それまで気長にお待ちいただければ嬉しいです! (2019年3月1日 7時) (レス) id: 87a69031e6 (このIDを非表示/違反報告)
進撃のカラ松 - ありがとうございましたぁぁぁぁあ!!良かったです!! (2019年2月28日 22時) (レス) id: 2a91d83e29 (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - るんこさん» いえいえ!!こちらこそ、読んでくださりありがとうございます!番外編もありますので、あと二話、よろしくお願いします (2019年2月9日 22時) (レス) id: 3db3ef1937 (このIDを非表示/違反報告)
るんこ(プロフ) - 完結お疲れ様でした!このなんとも言えない距離感がすごい好きで、しかも最後の方とか発狂しそうでした笑笑とても面白かったです!素敵な作品をありがとうございました! (2019年2月9日 20時) (レス) id: 01dc95890b (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - よつ葉@原色松推し(´ `*)さん» ありがとうございます!!私もカラ松大好きです!あぁいうノリ好きなので嬉しいです〜! (2019年1月6日 23時) (レス) id: 3db3ef1937 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:松々先輩 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2017年11月15日 0時

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