十四松ｇｉｒｌの私がトリップしてしまった。【十四松】

二十二 ページ24

「っ……ひゃー！歌いましたねー！あ、皆さんとっても歌お上手でした！」


カラ松さんとトッティが来れないことが残念だが、なかなか有意義な時間だった。
それに六つ子の生歌も聞けた訳だし。

カラ松さんには今度、黒い翼歌ってもらうから。(何を隠そういつか天魔◯黒ウサギのイメージソングである)
そしてトッティにはいのちの名前を声変わりする前の声で歌っていただく。ハク様の生歌聴ける〜！


「嬉しそうだね」
「はい！」


嬉しいですよ、と言う私を見て優しく微笑んでくださる四人。

あぁ、萌える。


空を見上げると、都会の中でも強く輝いている星が目に入った。



そして、ひゅっと体が動かなくなる。


さっきまで聞こえていた音が全て聞こえなくなった。



え…＿＿＿＿？



なんで？
なに、怖いんだけど。


できればもっと十四松と戯れるご兄弟を見てから死にたかったな……。



Aちゃん……？と心配そうなチョロちゃんの声が聞こえる。


あれ、声も出ない。



「…………」


どうして、なにが？




……あれ、私、十四松とどこで出会ったんだっけ？




思い出せない。





記憶が……消えた…？



どこだっけ、いつだっけ、その時十四松はどんな顔してたっけ？



「A！」
「っ！！じゅ、十四松…」



肩を強く掴まれてふと気がつく。

周りにざわめきが取り戻され、心配そうな四人の顔が見えた。



「ど、どうしたの？」
「Aこそ、大丈夫？動かなくなってからもう１０分経ってるんだけど…」
「！？」


じゅ、１０分！？
そんなに……。



「な、なんでも…ないですよ。心配性ですねぇ……」
「そりゃ心配もするよ…声かけても返事しないし、揺さぶってもずっと空見てて……」


不思議そうに私達の横を通り過ぎていくサラリーマン。

どうかした？とおそ松兄さんまでも心配そうだ。



「大丈夫ですって！なにも心配いりません！」
「……だったら、良いんだけど…」


じゃあ帰ろっか、と背を向けるチョロちゃんとおそ松兄さん。
その後、のそのそと歩いて背を向ける。


「じゃあ、僕たちも行こっか！」
「う、うん……」


手を引く十四松は私の方を振り向かない。

それが少し怖い。


昔を思い出すから。



「っ…！l


強く掴まれた腕に痛みが走る。

どこにも行かせない、なんて意思が感じられて、少し嬉しい。



怖さもかき消されるほど、好き。


……でもこれって、ただの“好き”じゃない……？

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