第29項目【チョロ松】 ページ30
その日はたまたま、本当にたまたまイライラしていて。
そしてたまたまAが一人、家にいた。
それだけ。
それなのに、僕は。
「……なんで、お前がいるんだよ」
「え、あ……お帰りなさい、チョロ松…」
怯えたようなAの態度に、イライラが増した。
だからなのか、なんなのか、僕はAの腕を力一杯掴む。
痛みで顔を歪めたAの顔をジッと睨んで。
「なんでお前がココにいるわけ?お前の家ってココじゃないよな?」
「え、だ、だからそれは…」
「正直、母さんがお前に何言ったか知らねえけど、お前がいくら飯用意しようが僕らは誰一人として食わないから」
「……」
そうまくし立てると、悲しそうに目を伏せるA。
その顔が、いつもより色っぽく綺麗に見えて自分に嫌気がさした。
そうだよね、と呟く小さな声にさえ愛おしさを覚えて。
あぁ、なんて馬鹿なんだろう。
小学生じゃないんだから、好きな女の子にくらい優しくなれよ。
「…チョロ松、今日ちょっとイライラしてるでしょ?そう言う日は熱いココアを飲むに限るのよ?……用意、しましょうか……?」
試すように、こちらを窺うようにして顔を覗き込むA。
それにさえ心臓が高ぶる。
「……別にいい。お前の淹れたココアなんて、飲みたくないし」
「……そう、よね…」
Aは力なく笑った後、細くて白い腕をギュッと掴んだ。
掴んだところが赤くなっていて、白い肌に映えている。
なんて僕は、馬鹿なんだろう。
「じゃあ私、部屋にいるから…」
そう言ったAの言葉も無視して、僕は台所は向かう。
たまに、凄く不安になる時がある。
このまま僕らがAを雑に扱って、Aが本当に嫌気がさして僕らを嫌いになったら。
その時僕は、ちゃんと耐えられるのだろうか?
「……はぁ…切ないなあ……」
僕は今にも雨が降りそうなくらいくすんだ空を見上げて、口にココアを含んだ。
どうして僕らは素直になれない?
どんなに空に問うても、誰も何も答えてくれないことはわかってた。
それでも聞くしかなかったんだ。
「……雨が降りそうだな…」
意味もなくポツリと呟いた言葉。
それだけで、思い出すフレーズ。
『雨音が響いてるね』
ずっと昔の話だった。
ポツリと意味もなくAが言った。
だけど僕は、今それに答える。
「……寒い?」
今君は何を思う?
___
解説
雨音が響いてますね→貴方を愛していました
寒いですね→抱きしめて欲しいです
疑問形なので、抱きしめて欲しいですか?
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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松々先輩(プロフ) - ねこねこさん» ありがとうございます!続編望んでくれる方いて嬉しいです…!今検討中です、少々お待ちください。こうなったら弟松にも告白されたいですよね…!? (2019年7月27日 1時) (レス) id: 884552bd5f (このIDを非表示/違反報告)
ねこねこ - サイコーでした!最後の兄松の告白はやっぱりキュンキュンしました〜頑張ってください 続編いくらでも待ちます! (2019年7月27日 1時) (レス) id: 3c082e665e (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - 龍神歌南さん» ありがとうございます!!構成練ってみます!! (2019年7月19日 21時) (レス) id: 3db3ef1937 (このIDを非表示/違反報告)
龍神歌南(プロフ) - この作品大好きなので、続編出して欲しいです!!応援してます!! (2019年7月19日 21時) (レス) id: 08dc9af95d (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - とりえさん» ありがとうございます!これからも頑張っていきたいとおもうので、よろしくお願いします! (2019年5月15日 7時) (レス) id: 87a69031e6 (このIDを非表示/違反報告)
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