潔癖執事とお嬢様【チョロ松】

執事が八人 ページ10

「起きてください、お嬢様。今日はダンスパーティーですよ」
「いやあぁあぁあ！！！」


バッと身を起こす。
朝一番、一番聞きたくない言葉を聞いた気がする。


まぁ、悪夢だと思ってやり過ごそう。


「お嬢様。ピンヒールで叩き起こされたいですか？」
「いいえっ！そんなことないです！」

朝から地獄を見るのはごめんなので、すぐさま着替えて朝食に向かう。

「おはようございます、お父様」
「あぁ、今日は楽しみにしてるぞ？」
「あはは…紳士方には足を踏まれないように注意していただかなければ」

上達と言える上達はしていないはず。
おそ松と一緒に練習はしたものの、上手くなったかどうかは不明。

多分ダメだと思うけど。


「朝食を食べた後は、カラ松の所に行くんだぞ？」
「わかってますよ」


ご馳走さま、と手を合わせ、愛しのカラ松さんに会いに行く。
太っていないかの最終チェックだ。

「ピッタリだ！honey、頑張ってくれ！」
「えぇ！カラ松さんのドレスを汚さないよう、細心の注意を払います！」

いや、ダンスのことなんだが…と苦笑いを浮かべるカラ松さん。
私なんかにダンスが綺麗に踊れるとでも？


「最善を尽くしますよ！安心してください！」

紳士達の足をとことんふんずけてきます！と敬礼すると、それは紳士にとって過酷ではないか…？と訊かれる。大丈夫、そこまで重くない！(だろう)

トコトコと歩いて会場に向かう。
六つ子は後から来るらしい。


A様！Aお嬢様！お嬢様！と、沢山の人達が私の周りに集まってきた。
是非私とダンスを、と手を差し伸べてくる好青年。

悪いが、私は先に食べ物をいただく。←


全ての誘いを断って、チョコレートケーキに手を伸ばす。
もきゅもきゅ音が出そうな勢いで食べていると、「まぁたそんなに食べて〜！」と軽い声が聞こえてきた。


「おそ松！遅かったじゃない、どこにいたのよ」
「図書室〜」

なんの本を、と聞こうと思ったがやめておく。
どうせロクでもない本だろうし…。


「他の兄弟は？」
「トド松は女の子ナンパ。十四松は、いつも通りガキども相手して野球してるんじゃね？」

一松先生は？と思ったが、後ろから尋常じゃないくらいの焦りを感じた。


「一松先生！何端っこでコソコソしてんですか！だから不審者に間違われるんですよ！？こっち来て一緒にケーキ食べませんか？」
「不審者…？フヒ、良いね…」
「性癖暴露しないでください」

執事が九人→←執事が七人

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