カラッポ【カラ松】

Forty three episodes ページ49

「ん……」


ここは……？

少し香るコーヒーの良い匂い
それと同時に、私の頬を柔らかいなにかが撫でる


「……あ、起きた…？」
「一松……」


あんた泣き疲れて寝ちゃったから、と言って私にコーヒーを差し出す一松

さっき私の頬を撫でたのは一松の飼い猫か…


ありがとう、とそれを受け取って部屋を見回す


「……変わらないわね」
「まぁ…面倒だし、こっちの方が落ち着くしね」


この前来たのは５年くらい前だったかな…
なにも変わらない…


いつ来ても一松の部屋は変わっていない


「あ、一応クソ松には連絡しといたけど…」
「……ありがとう…」


なんて連絡したんだろう

これでまた、呆れられたら…


いらない不安なんだろうけど、私にとっては一大事なんだよ
心配して見に来てくれるかと期待したけど、それはないみたい


そっか、カラ松…今日仕事だもんね…


「土曜日はどのクラスも体育がなくて良かった…歴史は？ありそうだけど…」
「……今日俺、休みなんだよね」
「あー…なるほどね〜」


って事は私は一松のたまの休みを無駄にしている、ということか…

申し訳ない事をした


「……ねぇ、A……」
「え？」
「猫カフェ行かない？」


猫カフェ……？

訳もわからないまま頷いた私は、今助手席に座っている

待って、話がトントン拍子に進みすぎてわけわからん



「久しぶりだね、Aと猫カフェ行くの…」


俺の楽しみでもあるんだよ、といつもは口数の少ない方の一松が沢山話している

楽しみにしててくれたんだ…


それに少し嬉しさを感じながら、私は笑った


「いらっしゃいませー」


店員さんに席に誘導され、控えめながらも座った私
一松の周りに擦り寄る猫達


え、ほとんどの猫こっち来てるんだけど…


一種の特殊能力なんじゃ…？


「……こいつが新しく入った子。おとなしい良い子だよ」
「えーっと……マンチカン…かしら」
「そ、で、こっちがスコティッシュ。こいつがペルシャ」


可愛いね、と一松の膝の上に乗っているスコティッシュを撫でる

うわぉ可愛い……


「……クソ松……カラ松兄さんとは、どうなったの」
「……カラ松…？そうだなぁ…私はまだ好きなんだけどね……」



カラ松は私のことを好きじゃないと思う

でもカラ松は優しいから、私と付き合ってくれてるだけ


それだと、いつまでもカラ松に負担をかけてしまうだろう



……もう、別れちゃおうかな…

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