「夫婦ごっこしないと」出られない部屋【錆兎】☆ ページ1
※リクエストありがとうございます!
「困ったわね…」
「ああ……」
二人はお互い顔を見合わせ、大きな溜息を吐いた。
キメツ学園中等部に通う錆兎と、キメツ学園高等部に通うA。
剣道部に放課後遊びに来るAは、今日もはるばる剣道部の部室へ足を運んだ。しかし、来てみればまだ冨岡は来ておらず、丁度部室へ到着した錆兎と待つことになったのだが…。
部室へ一歩足を踏み入れた瞬間、そこは知らない異空間だった。
出ようと振り返った時にはもう遅く、扉はピッタリと閉められて開かなくなっていたのだ。
どうする?と緊張感の感じられない声で言ったAは、鞄を置いて座り込む。
高校生とは思えぬ色気に、錆兎は早くここを出なければまずいことになる、と扉を見つめた。
「そもそもなにこの部屋…これ以外に窓もないなんて。監獄じゃない」
「…A、何か出てきたぞ」
錆兎がさした方を見ると、そこには大きな看板らしき板が貼り付けており、ジワジワと滲むように浮き出してきた文字に目を丸くする。
『夫婦ごっこしないと出られない部屋』と書かれたその文字は、確かにさっきまで書かれていなかったはずなのにそこに堂々と書かれていた。
(魔法かしら?でも流石に魔法なんて…)
というか夫婦ごっこってなんなんだ。
錆兎とAはお互い顔を見合わせた。
「…おままごとみたいなもの…かしらね」
「ままごとか…なるほどな」
ここへ閉じ込めた主はそんなものを見て楽しいのだろうか、と考えていたが、考えていても進まない。とりあえず二人は夫婦ごっことやらを始めることにした。
「で、夫婦ってなにするの?」
「さあ…」
夫婦というものを間近で見たことがないのだから、なんとも言えない。
世の中の夫婦は皆なにをしているんだろうか。
「…お隣の新婚夫婦の奥さんは、旦那さんを『あなた』と呼んでいたわ」
「じゃあ俺はAを名前で呼んで、Aは俺を『あなた』と呼ぶのか?」
「………あなた♡」
「…なんだその言い方は」
こっちの方がラブラブっぽいじゃない、と言うAは、どうやらこの状況を楽しんでいるらしい。
(つくづく肝の据わった女だ)
そういうところが、好感が持てるのだが。
まあ、なにはともあれ、Aは錆兎を呼んだのだ。答えてやらなければいけない。
「…A」
「!」
Aは錆兎の熱の籠った言い方に顔を赤く染める。
(その言い方はずるいわ…)
パタパタと手で顔を仰いでいると、錆兎がAの顔を覗き込んだ。
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松々先輩(プロフ) - ぽれ氏さん» ありがとうございます!リクエスト了解です!リクエスト消化中ですので、少しお時間いただきます。 (3月6日 1時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
ぽれ氏 - 全部読みました!めちゃめちゃ良くて惚れました((殴←黙れ☆よかったら悲鳴嶼さんのDキス&一線超えないと出れない部屋見たいです!!よろしくお願いします(*´∀`)ノ (3月5日 1時) (レス) id: c56a87995a (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 松々先輩さん» ぜひ!またリクエストしますので、その時はよろしくお願いします✡ヨロ*.꒰ঌ˶'ᵕ'˶໒꒱.*シク✡ (2月29日 7時) (レス) id: 50582a260f (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - ルナさん» こちらこそ、リクエストありがとうございます!ご満足いただけたようで嬉しいです。ぜひまた機会がございましたらよろしくお願いいたします。 (2月28日 15時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - とっても良かったです«٩(*´ ꒳ `*)۶»リクエスト書いてくれてありがとうございます(*´˘`*)♡ (2月27日 7時) (レス) id: 50582a260f (このIDを非表示/違反報告)
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