【あんスタ】大人気アイドルの現在。3

【高峯翠の場合】 ページ4

＿＿＿目の前に突然、着ぐるみを背負った後輩が現れたら、どう対応するのが正解なのだろうか。


「…………………、」


まだまだ日が高いある日の午後。

今日は確か流星隊のプロデュースだったなぁと思い、指定された場所に移動したまではよかった。

しかしドアを開けたら、此方を待っていたと言わんばかりに…翠がキラキラした目で見上げていて。

しかもその背中にはあのミッシェルの着ぐるみが。


…あまりにもアンバランスすぎて、一瞬誰かを背負っているのかと思った。


そんな翠を苦笑いでしか見つめることができないAに、翠はぱしっと手を叩くと、満面の笑みになる。


「先輩〜…!!待ってました…!!ずっと……この日が来るのを…!!」


「……………えっと…とりあえず何ヵ所かツッこむべきなのか…?」


「…?あぁ、このミッシェルのことですか。」


というか、ツッこみどころしかないけど。


翠はおもむろにミッシェルを床に置くと、ぐるんぐるんと肩を回しながら、なんでもツッこんでくださいと言葉を吐く。



「あー…まず、なんでアンタがそれ背負ってるの?」


「…?先輩にきてもらうために決まってるじゃないですか。」



思わず、あんぐりとした顔になるAに、翠はうっとりとした顔でそっと呟いた。



「先輩、前に俺たちをプロデュースした時に約束したじゃないですか…♪ミッシェルを着てくれるって…!!」



あぁ…確かにそんなこと言ったような言ってないような…。

っていうかその後、あたし"うん"って言ったっけ?やべ、記憶が曖昧だ。


痛み出してきた頭を抱えながら、Aはさらに口を開く。



「…じゃあ…そのミッシェルは今日のために借りてきたんだな?」


「はい♪…ホントはずっと借りたいんですけど…どうにも商店街の人が許してくれなくて…。」



…今度、商店街の方々にサインを配ろう。あと、ミニライブしよう。


「まぁ…あたしが入る事は別にいいんだけど…他の連中は?」


「あぁ…皆が皆個性強いですからね。俺以外の一年生は補習、三年生は………、……三年生は………先輩、頼みました。」


「嘘だろお前!?!!さすがに向こうも時間とかは分かってると思うけど、全員揃わないとできねぇんだから、声かけろよ!!」


「いや…俺には、あのお二人はレベルが違いすぎますから。」


「お前結構言うよな…。」


まぁそんなことより、と咳払いをしつつも、翠はくるりと後ろを向いて、部屋の奥にある更衣室へと続くドアを指さす。



「さぁ…先輩、着替えて下さいね…♪」



ここまで嬉しそうな翠を見たのは初めてだった。

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