Lily

【 XXXII 】 ページ32

あれから何時間経った？



あれからいくつの怪物を倒した？



あれからどれくらい私は魔法を使った？



私の身体はあとどれくらい動く？



さっきから倒しては増えまた倒すの繰り返し
ハウルがどこにいるのかも分からない



今もどこかで戦っているハウルの元へ…
たどり着かないと行けないのに



見えるのは燃える街と逃げる人
そして先生の手下たち



｢…しつこいな｣



手下をひょいと指で操り戦艦にぶつける
この戦争はどこまで続いていくのだろうか

さっきから疑問だけが頭の中を回る
何かを考える暇などないくらい生気の減りが早いのだ



この命の残り火が消えてしまう前に



私の身体が朽ちる前に



ハウルを見つけないと



｢……あれ｣



私っていつからこんなに余裕がなかったんだろう
気づけばハウルハウルって…



私はハウルもソフィーもマルクルも、カルシファーのことも皆大好きで



みんなを守るためにこうやって先生の手下たちと戦ってたはずなのに



気づけば頭を巡るのはハウルのことばかり
呪いで頭がおかしくなったのだろうか



助けてくれたあの時からずっと恩を返したくて、その考えもあってハウルについて行って



やっと今恩を返せると思った？



違う



こんな状況で私がハウルに返せる恩なんてない



…焦ってた？私が？



今更死ぬのが怖くなってハウルに会いたくなった？



ずっと一緒にいたのに私よりあの人が先に死んでしまう気がした



いつも一緒にいたハウルがどんどん遠くに行ってしまうような気がした



だから…逢いに来た



何故？



どうして逢いに来たの？



この気持ちが…なにか別のものだったとして



それをハウルが知ってなにかが変わった？



ハウルが好きな人を作っては会いに行って最後に振られたり振ったりしていたのはずっと一緒にいたから知っていた



前も女の人を家に入れていたのを知っている



それを見ても何も思っていなかったのに
呪いのせいで胸が傷んだだけなのに



私は…

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