【 XVI 】 ページ16
「…絶対にうまくいかない気がしてきた」
ハウルの魔法で洋服が綺麗になったソフィーがぽつりと言う
「大丈夫、何かあったら私が守るから」
そうは言うもののソフィーの曇った顔は取れない
「…そういえばAは姿変えなくいいのかい?」
ソフィーはAの顔を見あげる
ポンチョすら羽織っていない彼女は胸元にリボンを結んだ白いブラウスに膝上の黒いフレアスカート
所謂いつもの格好で立っていた
「先生に姿なんか変えても意味無いからね。でも靴だけ変わってるんだよ〜」
Aは少し高いピンヒールのショートブーツを自慢げに見せてくる
「新しく買ったの?」
「ハウルがくれたの、結構前から作ってたらしくて、特製空飛ぶブーツ」
トンとヒールを鳴らすとふわりとAの身体が宙に浮いた
「指輪だけじゃすぐ使い切るからって」
心配性だよね〜とAは笑う
「…じゃあ行こっか、歩くの疲れたら捕まってていいからね」
頭一つ下にいるソフィーを見て言う
彼女はスタスタと歩いているのだが、ハウルが何に姿を変えたか気になってるのか辺りをキョロキョロとしていた
鳥を見つけては少し歩くのを遅くするその姿を見てAは面白いものを見るように笑った
「…しかし、王宮って遠いわね」
「王宮まで遠いけど、中に入って先生のところに着くまでも遠いよ」
その言葉にソフィーは明らかに嫌そうな顔をした
暫く歩いていたら、懐かしい建物が見えてくる
「…ハウル?」
ソフィーが立ち止まった後Aも立ち止まり後ろを見た
そこには彼女に擦り寄る犬が一匹、それは一言ヒンッと鳴いた
「もう、よりによって年寄り犬に化けるなんて!年寄りがどんなに大変だか分かってるの?!」
…その子はハウルじゃないんだけどね
そう言ってあげようと思ったがどうにも彼女とわんちゃんのやり取りが面白くて後で言おうと思った
「お久しぶり、あの時の帽子屋さんでしょ?」
ソフィーを見ながら歩いていると突然反対から声をかけられ、聞き覚えのある声にピクリと身体が跳ね脇腹がピリピリと傷んだ
「荒地の魔女!」
「ハウルとAに手紙を届けてくれてありがとう、ハウル元気かしら?Aは元気そうね」
「…おかげさまで今にも死にそうですが」
「随分と魔法を使ったみたいね、器がボロボロ、あと7年生きられるかしら?」
そう言いながら荒地の魔女は笑う
その顔や声といったら、凄く胸くそ悪い気分になった
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ベニテングダケ(プロフ) - はじめまして!「ハウルの動く城」好きなんですか?私は大好きです!なのでとてもルイさんの作品を楽しく読ませていただきました。昨日ハウルの動く城を(金)ローで見てハウル熱がふきかえされました!それでこの作品に出会ったのです。とても素敵な作品だと思います! (2021年4月3日 3時) (レス) id: e33603a458 (このIDを非表示/違反報告)
ハリア - とても内容も深くてハウルも好きですがこの小説のお話がとても感動して好きです。またいつか新しい作品があれば楽しみにしています。 (2021年4月3日 1時) (レス) id: ff848e5d79 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - Aの化身さん» 初めましてこんにちは!そう言っていただけて凄く嬉しいです!2年経ってもこの作品を見つけて読んでくださる方がいる事実だけでもとても幸福なのに素敵な感想までほんとにありがとうございます! (2020年7月18日 12時) (レス) id: 7e9bb53309 (このIDを非表示/違反報告)
Aの化身(プロフ) - 2年越しから失礼します。ジブリ作品が再上映されているのを知り、2日連続で見に行った後に懐かしさを覚えて作品を拝見しました。ハウルファミリーは本当あったかくて大好きなので、読んでほっこりしました。とても面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年7月15日 3時) (レス) id: b8de8932f8 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 紅音さん» 少し凝った設定になってしまいました笑笑設定を作るのが好きなので結構盛っちゃうタイプなんです笑そんな風に言っていただけて本当にありがたい限りです!今までご愛読ありがとうございました! (2018年8月29日 10時) (レス) id: 1b9f7d69e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルイ x他1人 | 作成日時:2018年8月16日 20時