屈強 ページ44
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日本は負傷した不動に代わって剛陣を投入する。アメリカ代表のスローイングで試合が始まると明日人がボールを奪い、氷浦へとパスを繋げる。
「相手のゴール前には、地雷原が!」
再び左右に分かれて整列をするアメリカチーム。ゴール前はがら空きで攻め上がるチャンスだが、氷浦は思うように足が動かなかった。
迂闊に動き、敵の陣地に足を踏み入れれば先程の不動のように爆発してしまう。恐怖に足を射すくめられた氷浦は簡単にボールを横取られてしまう。
「しまった!」
日本はアメリカのタクティクスにより
攻めるに攻められない状況が続く。
日本側の陣内でボールを奪い合う事態に。
「カロネード砲」
「ダイヤモンドハンド!」
打ちつけられたコブラの必殺シュートを今度はがっしりと真正面からキャッチした円堂はその勢いに乗りボールを高く蹴り飛ばそうとする。
しかし___
「みんな、行くぞ……──っ!!」
自分の軽率な行動で、仲間達が危険に晒されていくビジョンが脳裏に鮮明に浮かんだ円堂は下唇を噛み締めると、傍らにいた岩戸へボールを転がす。
「これじゃ試合にならねえ!」
「とにかく、地雷の正体が分かるまで守り抜くしかない!」
思うように動けないことに腹立たしさと歯痒さを感じた剛陣は悔しそうに地団駄を踏む。そんな彼に野坂が宥めるような言葉を放つが心には響かず、焦りが生じるばかりだ。
「はぁああ!!」
再び氷浦がスライディングで
敵からボールをカットした、その時。
アメリカ選手のコンボイとシェイキーがドリブルを続ける氷浦の両サイドから現れ、そのまま歩幅を合わせると華奢なその体に激しいチャージをかけた。
「なんだ!?」
止まろうとしても体は嫌でもドリブルを続けさせられる。挙句にはボールすらも消えてしまったが、それでも彼らは氷浦を挟んで走ることをやめない。
「氷浦くん逃げて!敵はあなたをそのまま地雷原へ誘導するつもりよ!」
「誘導!?」
敵の意図に気がついたAの声がフィールドの外側から氷浦へと放たれる。耳を疑うような発言に心臓の動悸が激しくなるのを彼は感じた。
「なんて強い力なんだ!」
「氷浦くん急いで!早くしないと……」
「やってるさ!けど、離れられない!」
鍛え上げられた彼らの屈強な体にあたりで勝てるはずもない。切羽詰まった表情で何とか抜け出そうともがいたがその努力も虚しく、勢いよく背中を押された氷浦はアメリカ陣地に足を踏み入れてしまう。
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作者名:小雪 | 作成日時:2019年5月15日 0時