時を超えた想いを6【アレスの天秤】

究極の個人技 ページ8

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吉良ヒロトが加入し、雷門に一点を返したことで永世学園は再び勢いの波に乗りはじめる。一方、ヒロトの個人技を目のあたりにした雷門イレブンには焦りの色が見え始めていた。

「あっという間に一点返すなんて...。」

Aは冷や汗が額から頬へと伝うのがわかった。

「基山くん？どうかしたの？」

ふと何か思いつめているような表情をしていたタツヤが気になり声をかける。

「あ、いや...。ちょっと考え事をね。」

そう言って再び思いつめた顔をするタツヤにAは小首を傾げて再びフィールドに目を移した。



【追いつかれるわけには行かない雷門！しかし永世学園は今こそ巻き返すチャンス！】

再び試合が再開されるや否や、明日人からボールをスライディングでカットした玲名だったが スパイクの縁が足に当たってしまい、その場に蹲ってしまう。

「行くぜ！」

玲名からのパスを受け継いだヒロトは、凄まじい速さでフィールドを縦横無尽に駆け抜けていく。これも彼の必殺技の一つ「ジグザグストライク」であった。

「やっぱり怖いでゴス...！」

「大丈夫、ゴーレムなら！いつまでも怖がってちゃダメだよ！」

ジグザグストライクを放つまでには、威力をボールに溜める必要があった。その隙に岩戸は監督の壁洗いから培った必殺技「ザ・ウォール」を繰り出す。

「いいわよ岩戸くん、その調子！」

「それはどうかな。」

声援をおくるAの隣でタツヤがそう呟いたすぐ後のことだった。

なんとヒロトは、あろうことかボールを天高く蹴りあげると岩戸が作り上げた壁を利用してよじ登っていく。

「ザ・ウォールにあんな攻略法が!?」

彼にとってザ・ウォールは天へと続く神への道そのものであった。こんな形で必殺技が打ち破られるとは思わなかったAを含む雷門イレブンは驚きのあまり反応ができなかった。

気がつけば雷門ゴールにボールが突き刺さっていた。これはまさに、究極の個人技だと称える実況者。

その言葉に調子を良くしたヒロトは親指で自らをさしながら自信満々にこう言った。

「そうさ、俺はゴッドストライ...」

しかし肝心の言葉を遮って、ホイッスルが会場全体にな鳴り響いた。

「八神さん、大丈夫!?」

フィールド外まで足を引きずりながら歩いてきた八神に慌てて駆け寄ると肩に腕を回すA。

「ごめんなさい...。」

「気にしないで？困った時はお互い様よ。」

負傷した八神に代わり、瀬方が彼女とハイタッチを交わしてフィールドへと走っていく。

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