僕の大好きな君 2

「好き」ということ-K-4 ページ40

やばい、逃げてしまった


びっくりして走り出した俺を太輔が呼んでいた


でも、振り返らずに走って走って、

裏道に入って、太輔を撒いた




逃げるなんて俺らしくない



こどもの頃
いつも真っ直ぐな性格が自分でも好きだったと言うのに


大人になると、どうして、いろんなことが簡単ではなくなるんだろう


好きも嫌いも簡単だったあの頃
の俺は、真っ直ぐに太輔がすきだった

好きだと伝えることが男らしいと思ってた


でもたくさんの痛みを知ってしまっている大人になった今、

伝えることで太輔との何かが壊れてしまったら

そう思ったら何も言えなかった


酔って意識がない時に甘えるなんて、本当の俺の気持ちはもうちゃんと分かっているのに






気付けばキャンパス裏手の丘の上に来ていた

春の終わりとは言え、日が延びていて、オレンジ色の夕陽が綺麗だった


太輔を好きでいながら女の子と付き合うのも

そもそも太輔を好きだと言うことも


全て不毛だ、と思い、
そんなのを辞めようと思っていたはずだったのに


むしろ、会うことで好きを募らせている



辞めよう

やっぱり辞めよう



でも

本当に辞める必要があるのだろうか



こんなにもう好きなのに



堂々巡りの思考を止めたのは、
さっき見たあの光景


心臓がまた痛んで、瞬間的に胸を抑えた



「痛え……」




痛いよ、太輔




でも



痛いのが証拠なんだ




やっぱり




辞めることなんか、




今は俺できそうもないよ

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