お仕事 ページ20
授業を受け切り、次に向かうべくは軽音部部室…と思いきや。
メールを確認すれば朔間先輩から羽風先輩を呼んできて欲しいとの連絡が。確かクラスは…三年A組だったはず。
帰ってしまうかもしれないと言われたので階段を駆け上がる。
角を曲がるとあんず先輩にぶつかりかける。
「う、すみません…！」
「ううん、こっちこそ…怪我はない？」
こんな時でもこちらの心配をしてくれる優しい先輩。
「はい！先輩こそ大丈夫ですか？」
できるだけ元気に返す。
「ありがとう。これからお仕事？」
「はい、羽風先輩を呼びに行くところです！」
と言うと先輩は少し表情を曇らせて、
「何かあったらすぐ相談してね」
と告げた。どういう事なのだろうか…？
意図は図りかねたがその眼差しに
「…？わかりました」
と返事をすることしか出来なかった。
先輩も忙しいようで一緒に行けたら良かったんだけどと言いつつ、お仕事へ行ってしまった。
そんな事もありつつ、三年A組の前に居ます。
問題はここから。
三年A組には知り合いがいない。正確にはいない訳では無いが…放課後恐らく蓮巳先輩なんかは直ぐに生徒会なり練習へと向かっていることが容易に予測される。天祥院先輩はいるかすら分からない。斎宮先輩は手芸部にいるだろう。
どうしたものか悩んでいると声を掛けられた。
「ん？一年生じゃないか？どうしたどうした？困っているのか？だか俺が来たからにはもう大丈夫だ！」
茶髪の先輩…確か、守沢先輩だっただろうか。声が大きくて及び腰になるが折角の好機だ。今を逃したらほんとうに声を掛けることが叶わなくなってしまうだろう。
「えぇっと…そ、その…」
しどろもどろになる私に首を傾げる守沢先輩。
「守沢騒がしいんだけどぉ〜…ってAじゃん？何してる訳ぇ、迷子なの？」
と驚き顔で尋ねてくる瀬名先輩。
「いえ…その、羽風先輩を呼びに…」
目を合わせられないが頑張って俯かないようにして問う。すると守沢先輩がそういう事か、と言って教室の方へと向く。
「ああ！呼んでくる！」
少しして羽風先輩を連れてきてくれた守沢先輩。
「なに、もりっちー俺忙しい…ってAちゃん？」
「…あんたねぇ、何も言わずに連れてきたわけぇ？」
「ああ！そういえばいい忘れたかもしれないな！名前がわからないから仕方が無いだろう？」
「ありがとうございます。桜城Aと申します。羽風先輩、レッスンです」
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作者名：ぽあぷるーじゅ。 | 作成日時：2018年2月12日 13時
