店主さん ページ14
すると奥からスラリとした美人さんが出ていらした。
「ここじゃなんですから、奥へ案内しますよ」
ニコリと笑う姿に思わず見とれてしまった。
「ボサッとすんじゃね〜よ」
と、背中を叩かれた感覚で我に返る。
「す、すみません…!」
と言うと女性は微笑んで
「…ふふっ、かわいいですね〜」
と。そのまま応接間のようなところへ案内され、何が何だか分からなくなったところでソファに座らされ紅茶を振る舞われる。
応接間までも、可愛い。カーテンは水色やピンクのパステルが半透明に散りばめられた夢世界のような色合いで日が当たる度反射してふわりと舞う。
ソファもレースが遇ってあり、白いくまのぬいぐるみやふわふわとした星型のクッションなどが置いてある。
緊張していると女性は紅茶を指さし、
「自信作なんです。宜しければ是非。」
と言ってくれたので有難く頂く。
テーブルクロスは花柄でティーカップもこのブランドの物であり、そうであれば勿論、その中身だってファンシーショップオリジナルのベリーティーだった。
「…これ、お店の『花時計と苺罪』味の紅茶ですよね…?凄く好きなんです…!」
「…!よくご存知ですね。嬉しいです」
と、場が華やぐような笑顔を見せられ同性とはいえ見蕩れてしまう。
そのまま流れるような手つきで名刺を取り出し、差し出される。
「挨拶が遅れてしまいましたね。私、このお店の店主をしています栞田華乃と申します。ライブの件、宜しくお願いしますね」
名刺を受け取り書かれた名前を見て、ああ、ぴったりな名前だなぁ。名は体を表すというか。なんて思ってしまう。然し、そんな感情に浸るのは後にしなくてはならない。名乗って頂いた以上、名乗らなくてはならない。
「夢ノ咲学院一年の桜城Aと申します。今回のお仕事ではプロデュース科としてお手伝いさせて頂く予定です。名刺などは持っていなくて…失礼とは存じますがこれを受け取ってくださると嬉しいです」
と、名刺が必要になるなんて思ってもいなかったので手書きの連絡先を手渡す。
「今回ステージに立たせて頂くUNDEADの大神晃牙です。宜しくお願いします。」
おお。仕事場だと途端ししっかりし出す晃牙に驚きつつも安心する。
「Aちゃんに晃牙ちゃんですね。本日はライブの方針決めでよろしいでしょうか?」
晃牙はちゃん付けに一瞬嫌そうな顔をしたがまた営業の表情へと戻る。流石プロ。
「そうですね…」
36人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽあぷるーじゅ。 | 作成日時:2018年2月12日 13時