となりの翔太くん。 (ページ29)

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ラウ「しょっぴーがお兄ちゃんでよかった(笑)」

彼はニコニコしながらそう言って、綺麗にご飯を食べた。

ラウ「ごちそうさまでした。お腹いっぱいになったら眠くなってきちゃった…」

『ちょっと、』

彼は横になり眠ってしまった。

私は毛布を持ってきて彼に掛ける。

天使のような寝顔は、まだ10代のあどけなさを感じる。

しばらくして、呼び鈴が鳴る。

ドアを開けると、翔太くんだった。

渡辺「そっちにいるってラウールから連絡があったから」

『うん、今ご飯食べて眠ってる』

渡辺「悪いな。今日は残業でなかなか帰れなくてさ」

『全然大丈夫。あがって』

渡辺「おう」

私たちはすやすやと眠っているラウールくんのそばに座る。

渡辺「ったく、他人の家でよく眠れるな」

『…ラウールくんね、"しょっぴーがお兄ちゃんでよかった"って言ってた』

渡辺「…こいつが言ったの？」

『うん』

渡辺「ほんと、いつもは妙に大人ぶってるときあるくせに」

『かわいい弟さんだね(笑)』

渡辺「だな(笑)」

笑い合ったあとで、私は頭を下げる。

『…あの、この前はごめん』

渡辺「何が？」

『え？』

渡辺「そんなのいちいち覚えてねーよ」

…そうだ、翔太くんはこういう人だった。

忘れたフリをしているのか本当に忘れているのかわからないけど、あとで人の失敗を咎めたりはしない人だ。

『…うん(笑)』

私はそう言って頷いた。

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