【オリオン】天狼の伴星【フロイ】

２＝僕にとっての彼女は ページ2

練習後、ユーリに声をかけられた。




「フロイ、次の試合について話合いたい事があるんだけど、この後空いてるか？」


「あー…ごめん、今日は予定が入ってるんだ。Aが帰って来たからね」




申し訳なく眉を下げるが、ユーリはすぐに納得したように声を上げる。




「そうか、今日はAさんが帰ってくる日だったな」


「うん。Aが帰って来た日は一緒にご馳走を食べるって決めてるから」


「……相変わらず、仲が良いのやら分からないな」


「仲は悪く無いよ？」


「良いとも言い切れないのか」




痛い所をつかれ、苦笑を零す。



「まあ、Aさん何考えてるか分からないもんな。いつもニコニコしてて隙が無いと言うか…」


「そうだねぇ。あ、でも可愛いところもあるんだよ？

食卓に日本食が出た時とか目元が少し緩むんだ。やっぱり十一歳の時から親の元を離れて遠いロシアに来ているから故郷の料理を見ると安心しちゃうのかな？けれどAは由緒正しい家の子だからか食事中は──」


「フロイ、喋りすぎ。」


「あ、あれ？」


「早く帰ってやりなよ。Aさんによろしくー」


「あはは、うん。また明日ね」




ユーリに軽く手を振って、帰路につく。




今日の夕飯はAの好きなもの入れて貰ってるからなぁ…。


2年前、Aがうちに来てから隣国へ用事で出かけて僕の家に帰る度に

シェフにAの好きな食べ物を入れてもらうように頼んでたら、いつの間にか言わずともそれが当たり前になっていた。




“フロイ様はお優しいですねぇ”




いつの時か言われたメイドの言葉を思い出す。




「(うん。…だって、Aは僕のフィアンセだから)」




フィアンセには“優しくするもの”だもんね？

３＝私の役目→←１＝私と彼の関係

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